Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

一般口演
消化器:消化器Ⅰ

(S512)

当院における小児急性虫垂炎の診断および治療について

Acute appendicitis in children: diagnosis and treatment criteria in our hospital

吉元 和彦

Kazuhiko YOSHIMOTO

熊本赤十字病院小児外科

Pediatric surgery, Kumamoto red cross hospital

キーワード :

【はじめに】
小児の急性虫垂炎の診断では超音波検査を第一選択とすべきで,CTを最初から撮影するべきではないとの報告がある.当院でも小児急性虫垂炎の診断は原則として超音波検査のみで行い,必要な場合にCTを撮影する方針としているが,時にCTを撮影している症例がある.
【目的】
当院での急性虫垂炎の診断および転帰について後方視的に検討し,虫垂炎の診断にCTを撮影しないための対策について考察する.
【対象,方法】
2011年4月から2012年10月までの18か月に当院の小児科,小児外科において急性虫垂炎疑いで超音波検査を行った472名を対象とした.初回の検査結果と予後について後方視的に検討した.
【結果】
最終的に急性虫垂炎と診断した虫垂炎群110名,それ以外の非虫垂炎群のうち他の原因を確定できたのは303名,原因が特定できないものの臨床的に軽快したのが59名であった.この期間に虫垂炎でない患者に手術を行った症例はなく,虫垂炎を否定した後に当院で虫垂炎と診断した症例はなかった.診断の確定にCTを要したのは虫垂炎群18%(20/110),非虫垂炎群0人であった.虫垂炎と診断したうち当院で採用している診断基準で手術適応と診断したのは53名,保存的に治療適応と診断したのは57名であった.診断にCTを要したのは手術群26%(14/53),非手術群11%(6/57)であった.CTを撮影した理由は,1)休日夜間などで超音波検査を行う適切な人員が確保できない,2)穿孔例で詳細な診断が困難,3)体格の問題からUSでの評価ができないことなどであった.
【考察】
虫垂炎の否定は臨床経過をみることが大切であり,今回の結果からは虫垂炎を否定することにCTは必要ないのではないかと考えた.また虫垂炎の診断にCTを施行した中には,超音波検査の質や量を整備することでCTを撮影しなくてよかったと思われる症例が含まれていた.
【結論】
小児の虫垂炎の診断においてCTを撮影しないためには,腹部超音波検査を行う人員の増員,教育,修練の体制について今後改善していく必要があると考えた.