Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

一般口演
循環器:冠動脈疾患

(S497)

超音波検査で計測した各種脂肪組織厚と冠動脈硬化症との関連

Association of Ultrasound Thickness of Various Adipose Tissues with Coronary Atherosclerosis

平田 有紀奈1, 西尾 進1, 友藤 達陽1, 坂東 美佳2, 林 修司1, 發知 淳子2, 山田 博胤1, 2, 添木 武2, 赤池 雅史2, 佐田 政隆1, 2

Yukina HIRATA1, Susumu NISHIO1, Tatsuaki TOMOFUJI1, Mika BANDO2, Shuji HAYASHI1, Junko HOTCHI2, Hirotsugu YAMADA1, 2, Takeshi SOEKI2, Masashi AKAIKE2, Masataka SATA1, 2

1徳島大学病院超音波センター, 2徳島大学病院循環器内科

1Ultrasound Examination Center, Tokushima University Hospital, 2Department of Cardiovascular Medicine, Tokushima University Hospital

キーワード :

【背景】
冠動脈硬化症は,生命予後を左右する心血管イベントと関連する.最近,CTやMRI,超音波を用いた検討で,冠動脈狭窄と各種脂肪組織量との関連が報告されている.一方,生体には心臓周囲の心外膜脂肪,心膜脂肪や,メタボリックシンドロームとの間に強い関係が証明されている内臓脂肪,善玉脂肪とされる皮下脂肪など様々な脂肪組織が存在する.本研究の目的は,超音波検査により計測できる各種脂肪組織厚について,冠動脈硬化症の有無による差異があるか否かを検討することである.
【方法】
対象は2011年11月から2012年10月の間に,冠動脈疾患の疑いで心臓カテーテル検査による冠動脈造影が施行された163例(平均年齢67±11歳,男性132例)である.冠動脈のいずれかの部位に75%以上の狭窄を認めた113例(狭窄群)と,有意な冠動脈狭窄を認めなかった 50例(非狭窄群)の2群に分類した.汎用超音波診断装置,高周波リニアプローブを用い,左側臥位で収縮期,拡張期における前室間溝の心外膜脂肪厚,右室自由壁側の心外膜脂肪厚および心膜脂肪厚を計測した.皮下脂肪の指標として仰臥位で臍横の腹直筋直上の皮下脂肪厚と,上腕二頭筋下の皮下脂肪厚を計測した.また,コンベックスプローブを用い,仰臥位でモリソン窩の脂肪厚と,肝左葉表面腹膜下の脂肪厚を計測した.
【結果】
狭窄群における収縮期,拡張期前室間溝心外膜脂肪厚とモリソン窩の脂肪厚は,非狭窄群と比較して有意に大であった(前室間溝収縮期心外膜脂肪厚:7.6±2.8 vs. 5.6±2.3 mm,p<0.001,前室間溝拡張期心外膜脂肪厚:5.8±2.2 vs. 4.3±2.2 mm,p<0.001,モリソン窩脂肪厚:5.9±3.1 vs. 4.1±3.1 mm,p<0.001).収縮期および拡張期右室自由壁側心外膜脂肪厚,心膜脂肪厚,腹直筋直上皮下脂肪厚,上腕二頭筋下皮下脂肪厚および肝左葉表面腹膜下脂肪厚には,2群間で有意差は認めなかった.
【結語】
冠動脈狭窄例における前室間溝心外膜脂肪厚およびモリソン窩脂肪厚は,非冠動脈狭窄例と比べて大であった.超音波検査により計測できるこれらの脂肪厚が,冠動脈硬化症のリスク判定に利用できる可能性が示唆された.