Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

一般口演
循環器:症例Ⅱ

(S495)

感染性仮性動脈瘤の診断に経胸壁心エコーが有用であった一例

Infectious pseudoaneurysm detected by transthoracic echocardiography

小寺 聡, 神田 順二

Satoshi KODERA, Junji KANDA

総合病院国保旭中央病院循環器内科

Department of Cardiology, Asahi General Hospital

キーワード :

【症例】
70歳代男性
【現病歴】
2003年に大動脈弁狭窄および胸部大動脈瘤に対して,大動脈弁置換術,上行大動脈置換術を施行している.2011年2月に脳梗塞で当院に入院となった.入院時の血液培養が陽性(Salmonella species),発熱があり,Janeway Lesionを認め,感染性心内膜炎に伴う脳塞栓が疑われた.経食道心エコーで大動脈弁に疣贅を認め,感染性心内膜炎と診断した.弁輪周囲膿瘍や人工血管感染を疑う所見は認めなかった.セフォタキシムで6週間治療を行い,抗生剤中止後に血液培養が陰性であることを確認した.経過確認の経胸壁心エコーで大動脈弁の疣贅,弁輪周囲膿瘍,人工血管感染は認めず,2012年4月に退院となっていた.2012年5月から6月にかけて,発熱で他院に入退院を繰り返していた.その際,血液培養からSalmonellaが検出されていた.2012年8月に発熱,歩行困難の精査目的で当院に紹介入院となった.
【入院後経過】
感染性心内膜炎の再発が疑われ,心エコーを施行した.心エコーで大動脈弁,僧帽弁,肺動脈弁,三尖弁に疣贅は認めなかった.大動脈基部から右室に突出する袋状の構造物を認めた.辺縁の輝度は高く,内腔の輝度は低い構造物が心拍に伴って動き,右室流出路では球状に観察された.大動脈からつながる構造物であり,仮性動脈瘤が疑われた.CTにおいても人工血管周囲に液体貯留を認め,大動脈基部吻合部の感染性仮性動脈瘤と診断した.人工血管感染に対して,再人工血管置換術を検討したが,ご本人が手術を希望されなかったため,セフォタキシムで3か月治療を行った.ABPC内服に変更し,再燃が無いことを確認し退院した.本症例は感染性仮性動脈瘤の診断に経胸壁心エコーが有用であった興味深い一例であり文献的考察を加えて報告する.