齊川 祐子^{1, 3}, 安河内 聰², 瀧聞 浄宏², 田澤 星一², 柴田 綾³, 湯本 佳良子³

Yuko SAIKAWA^{1, 3}, Satoshi YASUKOUCHI², Kiyohiro TAKIGIKU², Seiichi TAZAWA², Aya SHIBATA³, Kayoko YUMOTO³

¹長野県立こども病院エコーセンター, ²長野県立こども病院循環器小児科, ³長野県立こども病院臨床検査科

¹Ultrasound Imaging Center, Nagano Children’s Hospital, ²Department of Pediatric Cardiology, Nagano Children’s Hospital, ³Department of Clinical Laboratory, Nagano Children’s Hospital

キーワード :

【目的】
小児健常者の，3Dスペックルトラッキング法による左室ストレイン（3D左室ストレイン）の妥当性について評価する．
【対象と方法】
対象は2〜12才（中央値7才）の正常心構造の小児19名．心臓超音波装置はViVid E9（GE Healthcare社），プローブはV4を使用した．心尖部4腔断面から4心拍のmulti beatで記録し，EchoPACで解析した．3D左室ストレインをスペックルトラッキングの追従性とLongitudinalStrain （Long），CircumferentialStrain （Circum），AreaStrain （Area），RadialStrain （Radial）それぞれについて，ストレインカーブのパターン，ピークの位置，およびピークの値により評価した．
【結果と考察】
1）19名中解析に適した画像を得られたのは15名であった．2）評価不可能例中2例はEDVが30ml以下で解析不可能であった．2例はストレインカーブのばらつきが大きかった．フレームレートは1心拍あたり19-34（平均26/心拍）．3）機器での除外分画（×）は1分画が7例，0分画が5例であった．4）スペックルトラッキングの追従性不良による除外分画は心尖部に集中していた．5）ストレインカーブ不良による解析除外は全例に存在した．ストレインカーブ評価を加えると，心尖部はすべての例で解析不能であった．心尖部以外のストレインカーブ不良はLongではBasal Posterior 12例，Basal Inferior 13例とApical Anterior 15例．CircumではMid Anterior 10例，および心尖部全般．AreaではBasal Posterior 10例，Apical Antrior 13例，Apical Lateral 13例．RadialではBasal Posterior 11例，BasalInferior 11例，ApicalAnterior 15例，Apical Lateral 12例．6）小児では心尖部は画角から外れやすく解析不良となる場合が多い．7）エコー輝度が上昇している部位のストレインカーブが不良となる例が多い．
【結語】
1）3D左室ストレインはEDV30ml以下の小児の心臓では測定不可能であった．2）小児における3D左室ストレイン測定では，機器が×を付けてきた分画のみならず，目視での壁運動やストレインカーブを精査し，ストレイン値を評価可能かどうか検討する必要がある．