加来 京子¹, 竹内 正明¹, 瀧聞 浄宏², 安河内 聰², 尾辻 豊¹

Kyoko KAKU¹, Masaaki TAKEUCHI¹, Kiyohiro TAKIGIKU², Satoshi YASUKOUCHI², Yutaka OTSUJI¹

¹産業医科大学第2内科, ²長野県立こども病院循環器小児科

¹Second department of intermedicine, University of Occupational and Environmental Health, ²Department of Pediatric Cardiology, Nagano Children’s Hospital

キーワード :

【背景】
心臓再同期療法は心室内伝導障害による局所心筋の収縮，弛緩のずれを是正する有用な治療である．近年3次元スペクルトラッキング法（3DSTE）を用いて，心不全症例の左室非同期運動の評価や心臓再同期療法の適応が検討されているが，我々の知る限り左室Dyssynchrony index（SDI（％））の正常値を多数の健常例で検討した報告はない．
【目的】
3DSTEを用いて，（1）幅広い年代における健常例の左室SDI（％）を評価すること，（2）SDI（％）が年齢の影響を受けるか否か検討すること．
【方法】
対象は健常例335例（1〜88歳，男性170名）．3次元心エコーにて左室の3次元フルボリュームデータを記録し（iE 33, Philips），3DSTEの定量的解析ソフト （Tomtec, 4D LV analysis）を用いて，左室局所16領域のlongitudinal （LS），circumferential （CS），3D strain （3DS）のピークストレインを計測し，各領域の値を平均し，Global strainを算出した．また，LS, CS, 3DSのそれぞれについて心電図QRSからpeak strainまでの時間の標準偏差を計測した．SDI（％）は各領域のQRS波からpeak strainまでの時間の標準偏差をRR時間で除して算出した．
【結果】
LS, CS, 3DS計測に関する妥当性はそれぞれ88％, 81％, 89％であった．Global strainの平均値は，Global LS -20.2±3.1, Global CS -28.9±4.6, Global 3DS -37.6±4.9であった．各年代のストレイン値及びSDI（％）をtableに示す．各ストレインによるSDIは10代で最も小さく，乳幼児，高齢になるほど増加した．
【結論】
3DSTE によるSDI（％）は年齢による影響を受け，その基準値は年齢毎に異なるため年齢毎に基準値を設定する必要がある．