柴田 綾¹, 安河内 聰², 瀧聞 浄宏³, 田澤 星一⁴, 齊川 祐子⁵, 湯本 佳良子⁶

Aya SHIBATA¹, Satoshi YASUKOUCHI², Kiyohiro TAKIGIKU³, Seiichi TAZAWA⁴, Yuko SAIKAWA⁵, Kayoko YUMOTO⁶

¹長野県立こども病院臨床検査科, ²長野県立こども病院循環器小児科, ³長野県立こども病院循環器小児科, ⁴長野県立こども病院循環器小児科, ⁵長野県立こども病院エコーセンター, ⁶長野県立こども病院臨床検査科

¹Department of Clinical Laboratory, Nagano Children’Hospital, ²Department of Pediatric Cardiology, Nagano Children’Hospital, ³Department of Pediatric Cardiology, Nagano Children’Hospital, ⁴Department of Pediatric Cardiology, Nagano Children’Hospital, ⁵Uitrasound Imaging Center, Nagano Children’Hospital, ⁶Department of Clinical Laboratory, Nagano Children’Hospital

キーワード :

【目的】
経皮的心房中隔欠損症閉鎖術（ASO）の施行前後の右房と左房の容積変化をリアルタイム3Dエコーにより計測しASOの心房に与える影響について検討すること．
【対象および方法】
当院でASOを施行された症例のうち11例（年齢5〜29歳，中央値8歳）体表面積　1.2±0.3m2　使用装置はPhilips社iE33, X7-2またはX3-1プローブを用いて，心尖部四腔断面で右房・左房を4〜6心拍のfull volumeで記録，解析ソフトとしてQLAB（Philips社）を用い右房・左房の最大容積・最小容積・心房EFを算出し平均値を求めた．ASO施行前・直後（1日〜3日）・遠隔期（12ヶ月〜24カ月）で比較した．
【結果】
11例中全例で両心房の容積計測が可能であった．右房最大容積はASO前43.2±14.1ml/m2から直後に28.8±8.6ml/m2と低下し，遠隔期25.4±6ml/m2となった．一方左房はASO前18.3±5.2ml/m2から直後17.7±5.2ml/m2と変化し遠隔期に20.4±7.2ml/m2と増加した．EFについては右房はASO後58.5±9.7％から45.4±9.2％と低下したが，左房EFはASO前後で60.4±5.3ml/m2から56.6±4.9ml/m2と変化がなかった．
【考察】
小児においても3Dエコーを用いた心房容積の測定は可能であったが，最小心房容積測定においては対象心房容積が小さいため測定誤差が最大心房容積に比べ大きかった．ASO前後で右房と左房の容積変化に差がみられたことはASO前後での循環管理上有益な情報となり得る．特に左房機能が問題となるASD例ではASO前後での両心房評価が重要と推察された．