Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

一般口演
循環器:左心機能Ⅱ

(S467)

小児における心エコーを用いた心係数を求める方法の検討

Evaluation of cardiac index in children

橋本 郁夫

Ikuo HASHIMOTO

富山市民病院小児科

Pediatrics, Toyama City Hospital

キーワード :

【目的】
従来より心係数(CI)が心不全状態の指標として用いられてきた.しかし,小児では体格の差が成人に比べ大きく,特に体格の小さい乳児では体表面積(BSA)も小さく心拍出量(CO)をBSAにて除した場合過大評価になりがちである.また,心エコー法では心内腔容積を仮定法にて算出し拡張末期と収縮末期の容積差より駆出量(SV)を求め心拍数の積からCOを算出することが多かった.しかし,同方法は心室が変形した症例では大きく誤差を生むことが指摘されている.その点Simpson法や3Dを用いた方法が望まれるが計測に時間を要するため臨床の現場では用いるには制限がある.今回,我々は心室形態によらないDoppler計測よりSVを求めCIを算出し,仮定法であるPombo法と比較検討した.また,より望ましい標準化の方法を検討した.
【対象と方法】
当科循環器外来を受診した川崎病既往者(急性期症例は除く)や胸痛など心疾患を疑われ精査の結果明らかな異常を指摘されなかった患児677例を対象とした(日齢0から22.2才,平均5.0才).全ての患者は基本的な身体計測と心エコー検査を施行している.心エコー検査は左室短軸断面より拡張末期径および収縮期径を測定しPombo法にて駆出量SVを求めた.CIはCOを体表面積(BSA)で除したものをCIBSA,身長で除したものをCIBL,体重で除したものをCIBWとした.また左室大動脈弁直上でDopper法にてVelocity-Time Integral (VTI)を測定し,Color Dopplerの最大幅から求めた断面積との積からSVを求めた.各々のCIを同様にCIBSA,CIBL,CIBWとした.
【結果】
CIBSAの年齢における分布はDoppler法にて求められた値は6才以下で3.94±1.29 L/m2であったが6才以上では2.80±0.75 L/m2とばらつきも小さくなりほぼ一定の値を示した.一方,Pombo法で得られた値の年齢分布は6才以下で4.39±1.25 L/m2,6才以上では3.87±1.08 L/m2と平均値もばらつきもDoppler法に比べ大きかった.CIBLの年齢におけるDoppler法で求めた値の分布は各年齢においてほぼ一定の値が得られ1歳前後で比較すると1才以下で2.03±0.82 L/m,1才以上では2.31±0.63 L/mであった.しかし,Pombo法では1才以下で1.94±0.78 L/m,1才以上では3.03±0.84 L/mとばらつきは拡大していなかったが年齢における平均値に差が見られた.CIBWに関してはDoppler法,Pombo法とも年齢における依存性が強い傾向を示した.
【結語】
心エコー法で得られたCIは低年齢ほど過大評価されかつばらつきも大きい傾向があったが,Doppler法にて求めたCIのうち身長にて除した値が年齢依存性が少なく有用であると思われた.