Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

一般口演
循環器:心機能

(S466)

膠原病関連運動誘発性肺高血圧における右室機能の評価

Right Ventricular Dysfunction in Exercise-induced Pulmonary Hypertension Associated with Connective Tissue Disease

發知 淳子1, 山田 博胤1, 2, 西尾 進2, 平田 有紀奈2, 坂東 美佳1, 林 修司2, 冨田 紀子1, 添木 武1, 佐田 政隆1, 2

Junko HOTCHI1, Hirotsugu YAMADA1, 2, Susumu NISHIO2, Yukina HIRATA2, Mika BANDO1, Shuji HAYASHI2, Noriko TOMITA1, Takeshi SOEKI1, Masataka SATA1, 2

1徳島大学病院循環器内科, 2徳島大学病院超音波センター

1Cardiology, Tokushima University Hospital, 2Ultrasound Examination Center, Tokushima University Hospital

キーワード :

【背景】
膠原病患者が肺高血圧症(PH)を合併すると,右心不全を来たし,その予後は極めて不良である.運動負荷で誘発される肺高血圧症(EIPH)は,顕性PHに至る前の早期段階と考えられている.最近,EIPHであってもその予後は必ずしも良好でないという報告があり,その理由としてEIPH例においてすでに右心機能が障害されている可能性が考えられる.そこで,我々は膠原病関連EIPH例の右心機能について検討した.
【方法】
心エコー検査を施行した膠原病例のうち,安静時にPHを呈さない130例において6分間歩行負荷を行った.運動負荷困難例,6分間歩行前後で三尖弁逆流が記録不能であった例,運動により左室拡張末期圧の上昇が示唆された例は対象から除外した.6分間歩行後の収縮期肺動脈圧(sPAP)≧45mmHgとなった例をEIPH,sPAP<45mmHgであった例をnonEIPHと診断した.2群間の年齢に有意差を認めたため,nonEIPH例の若年例を除いて年齢を整合した群をEIPH例との比較解析に用いた.右室機能の指標として,Mモード法により計測した三尖弁輪収縮期移動距離(TAPSE),パルス組織ドプラ法により記録した三尖弁輪運動速波形(TAM)の収縮期波高(s’)および拡張早期波高(e’)を用いた.
【結果】
基礎疾患の内訳は,強皮症87例,全身性エリテマトーデス11 例,混合性結合組織病9例,その他23例であった.28例(21.5%)がEIPHと診断された.EIPH例の基礎疾患は,強皮症14例,全身性エリテマトーデス5例,混合性結合組織病8例,その他1例であった.sPAPは運動により全例で増大したが,EIPH群ではnon EIPH群よりもsPAP増高が顕著であった(表).TAPSEは両群で差を認めなかった.EIPH群のTAMのs’およびe’はnonEIPH群と比較し,有意に低下していた.
【結語】
膠原病関連EIPH例においては,右室収縮能(s’)および右室弛緩能(e’)が低下しており,すでに右心機能が障害されている可能性がある.膠原病関連PHの予後を改善するには,EIPHを検出し,積極的に治療介入することが重要であると思われる.EIPHの簡便なスクリーニング法として,6分間歩行負荷心エコードプラ法が臨床的に有用であると考えられた.