Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

一般口演
循環器:左心機能Ⅰ

(S460)

内因性NO合成阻害物質ADMAは心不全の既往のないⅡ型糖尿病患者の左室拡張能と関連する

Association between serum levels of asymmetric dimethylarginine and diastolic function in diabetic patients without history of heart failure

川田 貴之, 大門 雅夫, 宮崎 彩記子, 市川 良子, 圓山 雅己, 鈴木 宏昌, 代田 浩之

Takayuki KAWATA, Masao DAIMON, Sakiko MIYAZAKI, Ryoko ICHIKAWA, Masaki MARUYAMA, Hiromasa SUZUKI, Hiroyuki DAIDA

順天堂大学医学部附属順天堂医院循環器内科

Department of Cardiology, Juntendo University School of Medicine

キーワード :

【目的】
内因性NO合成阻害物質Asymmetric Dimethylarginine(ADMA)は,近年心不全患者で上昇していることが示され,また心不全患者の新たな予後規定因子として認識されてきている.Ⅱ型糖尿病患者においても血清ADMA濃度は上昇していることが報告されているが,心不全の既往のないⅡ型糖尿病症例における心機能,特に拡張能との関連は不明である.
【方法】
心不全の既往のないⅡ型糖尿病患者76人を対象とした.心房細動,有意な弁膜症,左室肥大,壁運動異常ならびに冠動脈疾患の既往を有する例は除外した.2Dエコーにより拡張能指標を含めたパラメータを評価した.血清ADMA,NT-proBNPを含む血液検査も施行し,心エコー指標と比較した.
【結果】
74人(男56人,女18人,平均年齢57±12歳)が最終対象となった.全例で左室駆出率は50%以上であった.血清ADMA濃度は0.46±0.06nmol/mlであった.血清ADMA濃度はE/septal e’ (r=0.25, p=0.036),左房径(r=0.35, p=0.0028),NT-proBNP (r=0.33, p=0.010)及び糸球体濾過量 (r=-0.27, p=0.021)と有意な相関関係を認めた.また,septal e’ (r=-0.20, p=0.09)との負の相関傾向を認めた.一方,年齢(r=0.11, p=0.34),空腹時血糖(r=-0.092, p=0.43),HbA1c(r=-0.18, p=0.12),HOMA-IR(r=-0.085, p=0.47)との相関関係は認められなかった.
【結論】
血清ADMA濃度は心不全の既往のないⅡ型糖尿病患者の左室拡張能と関連しており,一方で血糖コントロールの指標との関係はみられなかった.血清ADMA濃度は糖尿病症例における拡張障害のマーカーとなり得る可能性があるが,引き続き予後との関係を検討していく必要があると思われた.