Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

一般口演
循環器:心臓腫瘍

(S455)

tumor plopを聴取した左房粘液腫の一例

Tumor plop in a case of left atrial myxoma

新保 麻衣, 飯野 貴子, 寺田 舞, 渡邊 博之, 鬼平 聡, 伊藤 宏

Mai SHIMBO, Takako IINO, Mai TERADA, Hiroyuki WATANABE, Satoshi KIBIRA, Hiroshi ITO

秋田大学大学院医学系研究科循環器内科学・呼吸器内科学

Department of Cardiovascular and Respiratory Medicine, Akita University Graduate School of Medicine

キーワード :

【はじめに】
左房粘液腫は約75 %が僧帽弁に嵌入し,そのうち15%にtumor plopが聴取されると言われているが,tumor plopの成因には諸説あり,結論は得られていない.
【症例】
50代男性
【主訴】
心音異常精査
【現病歴】
平成24年4月の健診にて心音異常を指摘され,二次健診目的に当科受診.
【経過】
胸部聴診にて心尖部で拡張早期に過剰心音を聴取したが,心電図,胸部レントゲンは異常所見を認めなかった.心臓超音波検査では,僧帽弁前尖弁腹〜線維性結合部に付着し,心拍に同期するような可動性を持つ表面平滑な38×27 mmの左房内腫瘤を確認.腫瘤の僧帽弁への嵌入と同時相(拡張早期)で心音図にて過剰心音が記録されたため,異常心音はtumor plopと診断した.詳細に観察すると,腫瘤はtumor plopと同時相で心室中隔に接触しており,また,最大左室流入血流速度2.0 m/s,PHT法による僧帽弁口面積 1.45 cm2と僧帽弁狭窄様の血行動態を示していた.本症例は腫瘤の僧帽弁嵌頓をきたす可能性が高く,準緊急で腫瘍摘出術が施行された.摘出標本は病理学的に粘液腫と診断され,術後はtumor plopは消失した.
【考察】
本症例で聴取されたtumor plopは,拡張早期の粘液腫の僧帽弁嵌入と心室中隔への接触,僧帽弁口面積狭小化に伴う高速左室流入血流と時相が一致しており,これらが成因となった可能性が示唆されるため,若干の文献的考察を加えて報告する.