Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

一般口演
循環器:不整脈

(S451)

CRT-P植え込み術後に右室内異常エコーをみとめた1例

A case of abnormal echo in the right ventricular after implantation of CRT-P

水上 雪香, 渡部 徹也, 上松 正朗

Yukika MIZUKAMI, Tetsuya WATANABE, Masaaki UEMATSU

関西労災病院循環器内科

Cardiovascular Center, Kansai Rosai Hospital

キーワード :

症例は70歳台男性.拡張型心筋症にて当院加療中であった.徐脈性心房細動に対して平成14年にペースメーカ植え込み術を施行されている.心不全の病状の進行により薬物コントロールが困難となった.心室ペーシング時に左脚ブロック様のwide QRS波形となるため,心機能改善目的でVVIペースメーカからCRT-Pにup gradeを行った.術前の心エコー図では,著明な心拡大と壁運動低下は認めていたが,異常像は認めなかった.CRT-P植え込み術の翌日の心エコー図にて右室のペースメーカリードに11×16mmの腫瘤像をみとめた.腫瘤のエコー像は均一で可動性を有していた.しかし,CRT-P植え込み後2日目の心エコー図では,右室内の腫瘤像は消失していた.その後のフォローの心エコー図においても腫瘤像は認めなかった.鑑別として腫瘍,疣贅が考えられたが,CRT-P植え込み後翌日にのみ腫瘤をみとめていることより,腫瘍は否定的であった.また,血液培養は陰性であり,発熱や炎症反応上昇なく,感染症の存在も認めていないことより感染性心内膜炎も否定的と考えられた.心房細動があり植え込み翌日のINRが1.52と低値であったことより,腫瘤像は右室のペースメーカリードに付着した血栓の可能性が高いと考えられた.胸痛,呼吸困難等の症状はなく,後日施行した肺血流シンチにて陰影欠損も認めなかった.ペースメーカ留置後のリード血栓は植え込み翌日に最も多く,3,4割の症例で認められるとの報告もある,比較的頻度の高いものであるが,肺血栓塞栓症,心不全等の症状が出現しない限り,発見されることは稀である.肺塞栓症や心不全出現時は抗凝固療法,血栓溶解,血栓除去,リード抜去を行うが,当症例は無症候性に血栓が消失した.今回,無症候性のリード血栓の症例を経験したので,文献的考察を加えて報告する.