Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

一度このページでloginされますと,Springerサイト
にて英文誌のFull textを閲覧することができます.

cover

2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

一般口演
循環器:血管Ⅰ

(S448)

週2〜3回の中等度運動を8週間継続すると動脈の硬さは低下する

Intermittent, Moderate-intensity Aerobic Exercise for Eight Weeks Decreases Arterial Stiffness

田中 みどり1, 2, 菅原 基晃1, 小笠原 康夫2, 仁木 清美3, 泉 唯史1, 梶谷 文彦2

Midori TANAKA1, 2, Motoaki SUGAWARA1, Yasuo OGASAWARA2, Kiyomi NIKI3, Tadafumi IZUMI1, Fumihiko KAJIYA2

1姫路獨協大学医療保健学部, 2川崎医療福祉大学臨床工学科, 3東京都市大学生体医用工学科

1Department of Health Care Science, Himeji Dokkyo University, 2Department of Medical Engineering,, Kawasaki University of Medical Welfare, 3Biomedical Engineering Department, Tokyo City University

キーワード :

【背景および目的】
週数回の運動をある期間継続すると動脈の硬さが低下することは,既に報告されている.血管の硬さの指標としては,脈波速度やCardio Ankle Vascular Index (CAVI)などが用いられているが,特定の動脈の弾性の改善が始まる時期とその運動強度との関係についての報告はない.本研究では,総頸動脈において,局所血管弾性の指標である圧力 — ひずみ弾性率 (Ep) およびスティッフネス・ パラメータ (β) を,エコートラッキング法により測定し,8週間の中度等強度の運動の前後で,Ep および βに有意な変化が現れるかどうかを検討する.
【対象と方法】
若年男女25名(20.8±1.0歳,男性18名)を対象とした.運動負荷プログラムの開始に先立って,安静状態で,エコートラッキング法にて拍動する血管の収縮期最大径(Ds),拡張期最小径(Dd)を測定し,同時に上腕動脈の収縮期圧(Ps)と拡張期圧(Pd)を測定した.得られたデータから,Epおよびβを計算した.同時に,ウェーブ・インテンシティー測定システムにて頚動脈最大血流速度(MaxU),脳からの反射波の強さ(Na)を測定した.心拍数(HR)=(220 - 年齢)×0.8を上限として,呼気ガス分析装置で監視しながら漸増運動負荷試験を行い,60%PeakVO2時のHRを求め,これをその後の運動負荷強度として用いた.エルゴメータ駆動を1日30分,週2〜3回,8週間行い,運動プログラム開始前と同様に安静時の各指標を測定,比較した.統計検定にはtwo-way ANOVA,post test にはBonferroniを用い,有意水準は5%とした.
【結果】
運動プログラム実施前後において,Ds, Ddは変化なし(Ds:-2.1%; Dd:-2.7 %),血管径変化率[100x (Ds Dd) / Dd]は増加(+11%, p’ 0.01),血管の硬さ指標は低下((Ep:-10.2 % ; β:-9.1 %, それぞれp’ 0.05),MaxUは増加した(+7.0%, p’ 0.01)(図).Naの変化は見られなかった(-4.6%).
【結論】
中等度強度の運動を1日30分,週2〜3回,8週間行うと,血管径の変化率は増加し,そのため血管の硬さ指標Epとβは低下した.血流速度は増加していたので,内皮細胞にかかるせん断応力が増加し,NOの産生が高められている可能性が示唆された.