Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

一般口演
基礎:超音波ガイド下治療に向けてーHIFU-

(S445)

集束超音波治療ナビゲーションにおけるレジストレーション精度評価

Accuracy Study in Image-guided Navigation System for HIFU

仲本 秀和1, 阿部 信隆1, 布施 辰樹2, 石井 宏志2, 鈴木 孝司3, 岡本 淳3, 村垣 善浩3, 4, 伊関 洋3, 4

Hidekazu NAKAMOTO1, Nobutaka ABE1, Tatsuki FUSE2, Hiroshi ISHII2, Takashi SUZUKI3, Jun OKAMOTO3, Yoshihiro MUARAGAKI3, 4, Hiroshi ISEKI3, 4

1株式会社日立メディコ応用機器開発室治療支援システムグループ, 2東京動物医療センター小動物診療科, 3東京女子医科大学先端生命医科学研究所, 4東京女子医科大学脳神経センター脳神経外科

1Application Development Office Therapy Support System Group, Hitachi Medical Corporation, 2Small Animal Clinic Department, Tokyo Animal Medical Center, 3Institute of Advanced Biomedical Engineering and Science, Tokyo Women’s Medical University, 4Dep. of Neurosurgery, Neurological Institute, Tokyo Women’s Medical University

キーワード :

【はじめに】
近年,集束超音波治療(High Intensity Focused Ultrasound:HIFU)において治療域を効率よく,かつ過不足なくカバーするために,MRIやCTのような3次元画像を用いた画像誘導ナビゲーションソフトウェアを開発している1).これより,患者画像上で病変部位を抽出し,極力少ない照射回数で治療部位がカバーできるように治療計画を立て,プローブ位置をガイドすることが可能である.今回,ナビゲーション画像を得るためのMRI撮像体位に着目し,撮像体位とナビゲーション精度の関係を調査した.具体的には,HIFU治療時と同じ傾斜(床面から30°)を保持させた状態でMRI撮像およびレジストレーションした場合と床面と水平(0°)によるMRI撮像を行い,床面から30°傾斜させてレジストレーションした時の精度比較検討を行った.
【対処と方法】
本研究で使用したMRIは,0.3Tで430mm水平ギャップの永久磁石タイプオープンMRI(AIRIS Elite※,日立メディコ製)である.また,レジストレーションおよびデータ取得は,自作ソフトを用いた.対象はウサギ3羽であり,左大腿部を除毛後にマルチモダリティラジオグラフィックマーカー(MM3002,I.Z.I Medical Products Corporation US):5個を貼り付けてMRIによる3D撮像(3D GrE-RSSG, FOV:150mm, TR:27ms, TE:12ms, Flip angle:40, Thickness:1.5mm, Freq#:256, Phase#:160, Bandwidth:12.5kHz, AMI:14%)を行った.評価の条件は,下記4パターンであり,それぞれレジストレーション値を取得した.
① 30°傾斜させてMRI撮像し,30°傾斜固定でレジストレーション(入水無し)
② 30°傾斜させてMRI撮像し,30°傾斜固定でレジストレーション(入水有り)
③ 膝コイル(0°傾斜)にてMRI撮像し,30°傾斜固定でレジストレーション(入水無し)
④ 膝コイル(0°傾斜)にてMRI撮像し,30°傾斜固定でレジストレーション(入水有り)
また,1回のレジストレーションで得られる値は11通り(5C3+1)であり,1羽に対して2回のレジストレーションを行った.合計66個(11通り×2回×3羽)のデータを取得し,4通り(①-②,③-④,①-③,②-④)の組合せでt検定を実施した.
【結果】
レジストレーション精度検証の結果(平均値±標準偏差)は,①1.26±0.42mm,②1.25±0.41mm,③0.98±0.42mm,④1.43±0.57mmであった.t検定の結果は,①-②:p-0.09,③-④・①-③・②-④:p<0.05であった.
【考察】
当初,MRI撮像とレジストレーション体位が変わることによって,重力による大腿部の形状変化が起こり,レジストレーション精度が異なることを予想していたが,結果的にほとんど変わらない値になった.その理由として,対象領域の保定がしっかりしていたためと考えられ,重力による部位形状変形の影響は少ないと思われる.今後,保定の影響を考慮し,レジストレーション精度評価を行う予定である.
【結語】
対象領域の保定を堅固にすることで,傾斜による形状変化を抑制することができた.これより,ナビゲーション精度が向上し,健常組織への副作用を軽減しつつもHITU治療効果を向上させることが可能になると考えられる.
【謝辞】
本研究は,経済産業省 平成24年度「国際標準共同研究開発事業」の委託研究によって行われた.
※AIRIS, AIRIS Eliteは株式会社日立メディコの登録商標です.
【参考文献】
1.阿部信隆,仲本秀和,窪田 純;超音波治療のためのマルチモダリティナビゲーションシステムの開発Ⅲ.Jpn J Med Ultrasonics Vol.39 Supplement(2012): S346.