Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

一般口演
基礎:超音波ガイド下治療に向けてーHIFU-

(S443)

集束強力超音波照射用プローブの位置制御を目的としたマニピュレータシステムの開発

Robotic positioning system for High-Intensity Focused Ultrasound therapeutic system

中丸 小百合1, 鈴木 孝司2, 岡本 淳2, 阿部 信隆3, 吉光 喜太郎2, 仲本 秀和3, 伊関 洋2, 福井 康裕1, 本間 章彦1, 村垣 善浩2

Sayuri NAKAMARU1, Takashi SUZUKI2, Jun OKAMOTO2, Nobutaka ABE3, Kitaro YOSHIMITSU2, Hidekazu NAKAMOTO3, Hiroshi ISEKI2, Yasuhiro FUKUI1, Akihiko HOMMA1, Yoshihiro MURAGAKI2

1東京電機大学大学院理工学研究科, 2東京女子医科大学先端生命医科学研究所, 3株式会社日立メディコ応用機器開発室

1Graduate School of Science and Engineering, Tokyo Denki University, 2Institute of Advanced Biomedical Engineering and Science, Tokyo Women’s Medical University, 3Application Development Office, Hitachi Medical Corporation

キーワード :

【目的】
集束強力超音波(HIFU)とは,超音波トランスデューサ(TX)から照射された100W/cm2を超える強力な超音波を一点に集束させ,組織の凝固壊死を得る治療方法である.現在,東京女子医科大学では従来の加熱作用のみに基づくHIFU治療ではなく,音響活性薬剤を用いた音響化学治療を併せた治療法を研究中であり,そのための超音波照射システムを開発している.これまでは手動の位置決め装置によりTXをターゲット位置に固定していたが,手動の位置決めに時間を要するため治療が長くなり,その結果,操作者の疲労やそれに伴う位置決め精度の低下が問題となった.そこで本研究ではTXを保持するロボットマニピュレータの設計・開発・評価を行ったので報告する.
【方法】
開発したシステムは試料設置用水槽とTX,位置決め用マニピュレータ,ナビゲーションシステム,3次元光学式位置センサー,超音波診断装置,MRIから構成される.あらかじめ撮像したMRI画像を元に治療計画を立案し,リアルタイムで観察可能な超音波画像で確認を行いながらターゲット部位にマニピュレータでTXを固定し画像誘導下にHIFUを照射する.全ての機器および画像情報は光学式位置センサーにより座標統合が行われる.開発したマニピュレータは3次元位置決め用のXYZステージと,照射角度を決定するための遠隔回転中心(Remote Center of Motion)機構を用いた回転2自由度を有しており,駆動範囲は460×500×305mmであり,照射角度は鉛直下向きに対して30度である.
【結果】
本システムニピュレータの評価試験の一つとして,ロボットマニピュレータ部分の機械的精度評価を行った.入力した移動量に対する位置決め誤差を光学式位置センサーによりXYZステージの各5点ずつ,10mmで計測し,誤差の平均と標準偏差を求めた.その結果,平均はX軸-0.003mm±0.183,Y軸0.036mm±0.165,Z軸0.008mm±0.052であった.今後,画像誘導下治療システムとして統合する中で,画質が0.2mm/pixelであることから,本実験からロボットマニピュレータはXYZステージにおいて十分な位置決め精度を有していることが示された.
【考察】
今後は回転2自由度についても精度評価を行うと共に,画像誘導下での自動位置決めにより作業時間が短縮化されるか評価する.
【謝辞】
本研究は最先端研究開発支援プログラムによる.