Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

一般口演
基礎:超音波ガイド下治療に向けてⅡ

(S440)

熱画像法ならびに熱電対法を用いた強力集束超音波照射時の温度上昇値の時間変化測定

Measurement of time changing of temperature rise in phantom caused by focused ultrasonic radiation using thermal imaging and thermo coupler method

清水 一磨, 佐久間 優, 田中 伸, 土屋 健伸, 遠藤 信行

Kazuma SHIMIZU, Suguru SAKUMA, Shin TANAKA, Takenobu TSUCHIYA, Nobuyuki ENDOH

神奈川大学工学部電気電子情報工学科

Electrical, Electronics and Information Engineering, Faculty of Engineering, Kanagawa University

キーワード :

【目的】
超音波診断装置はICE60601-2-27等の国際規格によって生体への作用を十分押えられており,人体への高い安全性が保障されている.一方,短時間でも強力な超音波を照射すれば局所的に高い温度上昇が起きることが予想される.しかし,数ms程度の短時間での温度上昇に関してはあまり多くの報告がない.我々は超音波照射による温度の空間的な変化について熱画像法を用いて測定してきた.しかし,熱画像法においては短時間の温度変化を得る事が困難である.そこで熱電対法を併用することで空間的・時間的変化の双方を正確に捉える事を考えた.本報告では熱画像法ならびに熱電対法を用いて強力集束超音波照射時の温度上昇値の時間変化を測定した.
【方法】
測定ブロック図をFig.1に示す.恒温水槽内の周波数1.1 [MHz],有効駆動径 64.0 [mm],焦点距離49.8 [mm]の振動子の前面に90 [mm]角の立方体を2分割した生体組織ファントムを配置する.振動子の焦点付近にK型熱電対(30μm径)を設置する.強度ISPTA=1 [kW/cm2]の超音波をファントムに5秒間照射した.照射停止後,ファントムを水槽から取り出し,照射停止から5秒後に分割ファントムを開封して内部の温度分布を測定した.
【結果・考察】
Fig.2に焦点近傍における温度上昇値の時間変化を示す.照射5秒後の時点で17.6 [℃]の温度上昇値が確認された.そして,照射停止後,徐々に温度が低下している.また,照射停止5秒後にファントムを開封した際に取得した熱画像において,熱電対のある位置での温度は熱画像法により2.5 [℃]低く測定された.これはファントムを開封する際の空気への放熱によるものと考える.放熱による温度低下が断面全体で指数関数的に減少すると仮定して,開封前の温度分布を推定した結果をFig.3に示す.温度分布の広がりは大きく変化しないが,焦点近傍がより高温であったことが分かる.
【結論】
本研究では従来の熱画像法に熱電対法を併用することで熱画像法時の開封時の放熱の影響を知る事ができた.さらに焦点付近での温度上昇の時間的な変化を捉える事ができた.今後はより短い照射時間とパルス波照射において温度上昇の時間的な変化を測定する予定である.
【謝辞】
本研究を実施するにあたり有益なご助言をいただきました社団法人電子情報技術産業協会超音波専門委員会の委員の皆様に感謝いたします.また,本研究の一部はJSPS科研費 23500568の助成を受けたものです.