Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

一般口演
基礎:その他Ⅱ

(S438)

造影高周波超音波を用いた初期リンパ節転移早期診断の検討

Study of diagnosis of lymph node metastasis in an early stage using contrast-enhanced high frequency ultrasound

竹村 知晃

Tomoaki TAKEMURA

東北大学大学院医工学研究科治療医工学講座小玉研究室

Graduate School of Biomedical Engineering, Tohoku University

キーワード :

【目的】
リンパ節は患者の予後に大きな影響を与える因子であるが,リンパ節転移を早期に診断することは困難とされている.本研究では超音波造影剤であるソナゾイドと小動物用超音波高解像度イメージングシステム(VEVO770)を用いてリンパ節内の血管密度の継時変化を測定し,造影高周波超音波による初期のリンパ節転移診断の可能性の有無を調べることを目的とする.
【方法】
マウスはMXH10/lprマウスをもちいた.このマウスはMRL/MpJ-lpr/lpr(MRL/lpr) とC3H/HeJ-lpr/lpr(C3H/lpr) をかけあわせて作製した組換え近交系マウスであり,Fasの欠損変異を呈するlpr遺伝子をホモ接合でもつことにより自己反応性リンパ球が増殖する.生後3か月ごろよりヒトと同様の長径10mm程度までのリンパ節の腫脹をきたす.このMXH10/ lprマウスの腸骨下リンパ節にルシフェラーゼ遺伝子を恒常的に発現するマウス乳癌細胞(FM3A/pLuc)を60 μL接種し,リンパ管を介して腋窩リンパ節に腫瘍細胞を生着させる.腫瘍の生着にともなうルシフェラーゼ活性は生体発光イメージング装置(IVIS)で確認する.腫瘍細胞生着後day 6, 15, 22 に測定した.腋窩リンパ節の血管密度は小動物用超音波高解像度イメージングシステム(VEVO770)で day -1, 13, 17, 23に測定した.腋窩リンパ節を2つに分割して血管密度の解析をおこなった.また,ヘマトキシリン,エオジン染色およびCD31による免疫染色で腋窩リンパ節の病理組織像を調べた.
【結果および検討】
腋窩リンパ節内の腫瘍の増加にともなうルシフェラーゼ活性値の経時的増加が観測された.ソナゾイドとVEVOを用いた造影高周波超音波による血管密度の評価では腋窩リンパ節を二分割した群間で血管密度の継時的変化に差異があることが判明した.病理標本の観察よりこの様相は腫瘍の生着の有無に起因していることが確認された.造影高周波超音波を用いることでリンパ節転移を早期に診断する可能性が示唆された.