Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

一般口演
基礎:その他Ⅱ

(S437)

解析解を用いた微小石灰化からの超音波エコーの考察

Investigation of ultrasound echo returned from small calcification using mathematical solution

瀧 宏文1, HAAT Guillaume2, 山川 誠3, 椎名 毅4, 佐藤 亨1

Hirofumi TAKI1, Guillaume HAAT2, Makoto YAMAKAWA3, Tsuyoshi SHIINA4, Toru SATO1

1京都大学大学院情報学研究科通信情報システム専攻, 2Faculté des Sciences & Technologie, Université Paris-Est Créteil Val de Marne, 3京都大学先端医工学研究ユニット, 4京都大学大学院医学研究科

1Graduate School of Informatics, Kyoto University, 2Faculté des Sciences & Technologie, Université Paris-Est Créteil Val de Marne, 3Advanced Biomedical Engineering Research Unit, Kyoto University, 4Graduate School of Medicine, Kyoto University

キーワード :

【はじめに】
超音波による微小石灰化検出により,若年女性を含む安全・安価な乳がんスクリーニングが実現できると考えられる.我々は隣接走査線間の受信信号の相関を用いた微小石灰化検出法を提案してきたが,本手法は不均質媒質中では特性が大きく低下し,乳房内の微小石灰化検出能が十分ではない.微小石灰化検出に適した信号処理方法を開発するため,本研究では微小石灰化からのエコー特性を調べる.
【実験方法と結果】
固体球中での横波を考慮した連続平面波反射の解析解はFaranにより示されている[1].我々はこの解析解を使用し,微小石灰化からのエコーの全周波数成分を求めることにより微小石灰化エコーを解析的に生成した.ただし,微小球に照射される平面パルス波の中心周波数を7.5 MHz,6 dB帯域幅を2.4 MHzとし,微小ガラス球を深さ2 cmに配置するとした.図1はFaranの式を用いて生成した微小ガラス球からのエコー波形である.微小球の直径が増加するとともに振幅が成長し,狭帯域化している.我々は解析解を用いて生成したエコーと実験で得られたエコーを比較した.0.1 mmの微小球エコーで正規化した0.2 mmの微小球エコーについては,解析解で生成したエコーと実験で得られたエコーとの間で信号電力は一致しなかったものの,周波数特性はよく一致した.一方,0.3 mmの微小球エコーについては信号電力だけでなく周波数特性についても9 MHz近傍の高周波成分で一致しなかった.両者が一致しなかった原因の1つとして,実験での送信波は平面パルス波ではなく指向性を持つことが挙げられる.実際の送信波は指向性を持ち波面が平面でないため,微小球の直径が大きくなるほど微小球表面での位相が解析モデルからずれ,両者の波形が一致しなくなったと考えられる.
【結論】
Faranの解析解を用いた微小石灰化エコーの生成法を提案し,解析的に生成した微小球エコーと実験的に得られた微小球エコーの周波数特性を比較した.その結果,直径0.1 mmから0.2 mmの微小石灰化からのエコー波形が提案法により生成可能であることが分かった.また,さらに高精度な波形生成を実現するためには送信波の指向性を考慮する必要があることが示唆された.
【参考文献】
[1]J.J. Faran, J. Acoust. Soc. Am., Vol. 23, No. 4 (1951)