Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

一般口演
基礎:その他Ⅱ

(S437)

Twinkling Signを応用した微細石灰化検出法の非生体実験による検討

An Experimental Study for Microcalcification Detection Based on Twinkling Sign

田邉 将之1, 西本 昌彦1, 劉 磊2

Masayuki TANABE1, Masahiko NISHIMOTO1, Lei LIU2

1熊本大学大学院自然科学研究科, 2GEヘルスケア・ジャパン超音波技術部

1Graduate School of Science and Technology, Kumamoto University, 2Ultrasound Engineering, GE Healthcare Japan

キーワード :

【背景】
1990年代序盤,膵石や腎石などを診断する際,通常の超音波Bモード画像ではなく血流計測モードを通して眺めると,キラキラと星のまたたきのように描出される“Twinkling Sign”現象が報告された.近年,Coded Excitationを用いた超音波血流計測手法の一つであるB-Flow(GE社製超音波診断機器に搭載)を用いて微細石灰化によるTwinkling Signが確認され,その後,微細石灰化を模擬した直径200μmのガラス粒子を用いたin vitro実験においてもTwinkling Signを示すことが確認された.本現象はその原理が十分に解明されていないため,未だ臨床への応用には至っていないが,原理が解明すればその有用性は非常に期待でき,初期乳がんにおいて発生する微細石灰の検出が可能であると考える.著者らはTwinkling Sign発生メカニズムを検証するために,微細石灰化を配置したモデルを構築し,音波伝搬シミュレーションを行った.その結果,微細石灰化の内部および表面に弾性波が生じ,複雑なエコー信号が得られることが確認された.しかし,シミュレーションでは一回しか音波照射せず,各照射におけるエコー信号の差分計算を行なっておらず,Twinkling Signそのものを再現できたわけではなかった.Twinkling Signは音波照射の度に何らかの理由によってエコー信号が変化することで起きると考えられる.そこで本研究では非生体実験を行い,シミュレーション結果との整合性を確認した上で,Twinkling Signを再現することを試みたので報告する.
【方法】
シミュレーションと同様の環境を単板振動子(中心周波数:10MHz)と直径500μmのビーズを埋め込んだ生体模擬ファントムで構築し,音波を繰り返し照射して複数のエコー信号を取得した.
【結論】
非生体実験で得られたエコー信号とシミュレーションで得られたエコー信号に十分な一致が見られた.さらに非生体実験において,各照射で得られたエコー信号の振幅を比較したところ,エコーの最大振幅に対して約10%の差異が見られた.さらに位相差を計算したところ,複雑で長い時間長のエコー信号中において,±180°に近い位相差が断続的に得られることがわかった.