Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

一般口演
基礎:その他Ⅱ

(S436)

腹臥位画像を用いた粒子法シミュレーションによる背臥位画像の再構成

Reconstruct a supine image of the breast with particle simulation using a prone image

志野 亮作1, 伊藤 広貴1, 越塚 誠一1, 劉 磊2, 地挽 隆夫2

Ryosaku SHINO1, Hirotaka ITO1, Seiichi KOSHIZUKA1, Lei LIU2, Takao JIBIKI2

1東京大学大学院工学系研究科, 2GEヘルスケア・ジャパン超音波製品開発部

1Graduate School of Engineering, The University of Tokyo, 2Ultrasound Engineering, GE Healthcare

キーワード :

【緒言】
初期の乳がんに対する高精度な検査・治療を行うために,従来は単独で用いられていた超音波とMRIをフュージョン表示する手法が研究されている.しかし,乳房組織は撮像体位により変形するため撮像体位が異なる画像の位置の対応を取るのは困難である.著者らは既存の構造解析手法と異なりメッシュを生成せずに解析を行うことができる粒子法の特徴に着目し,腹臥位MRI画像より乳房粒子モデルを作成し,粒子法弾性解析を用いて腹臥位から背臥位への体位変化に伴う乳房変形を算出し,変形に合わせて腹臥位画像を背臥位画像へと補正する手法の開発を行っている.弾性解析で得られた乳房変形の情報に合わせて画像を再構成する際に,組織表面近傍は変位が不連続な値となっている(組織内部では大きな変形値であるのに対し組織外部では変形値は0である)ため,伊藤らの手法では画像再構成に必要な情報が正しく算出されず,画像左に示すように本来ならば体組織が存在しない領域に不自然な像が現れてしまうという問題点があった.このような不自然な像が現れないようにするべく以下の手法を開発した.
【方法と結果】
448×448ピクセル,ピクセルサイズ0.74mm,スライス厚0.9mm,120スライスの胸部腹臥位MRI画像より皮膚・脂肪・軟組織・筋肉・腫瘍を領域抽出し,粒子モデルを生成した.粒子モデルに均一な物性値(ヤング率1kPa,密度919.6kg/m3,ポアソン比0.49)を設定し,MPS弾性解析により変形を見積もった.また,腹臥位画像の乳房領域に対応する表面モデルを作成し,弾性解析にて得た変形情報に合わせて表面モデルを移動させた.そして変形後画像の画素のうち表面モデルの内側に入っている画素のみ再構成を行った.その結果画像右に示すように本来ならば体組織が存在しない組織表面付近における不自然な像が現れないようになった.
【結論】
MPS弾性解析を用いた腹臥位画像の背臥位画像への再構成を行う際に,組織表面付近の不自然な像を低減させる手法を開発した.今後は実際の背臥位MRI画像と再構成された背臥位MRI画像を定量的に比較することにより手法の妥当性を検証する.また,詳細な組織をどこまで考慮するのか,物性値の個人差はいかほどであるのかについても検討する予定である.