Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

一度このページでloginされますと,Springerサイト
にて英文誌のFull textを閲覧することができます.

cover

2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

一般口演
基礎:超音波ガイド下治療に向けてⅠ

(S434)

集束強力超音波治療のための照射領域計画アルゴリズムの開発

Development of a treatment planning algorithm for High Intensity Focused Ultrasound

阿部 信隆, 仲本 秀和

Nobutaka ABE, Hidekazu NAKAMOTO

株式会社日立メディコ応用機器開発室

Application Development Office, Hitachi Medical Corporation

キーワード :

【はじめに】
本研究では,これまでに引き続き,集束強力超音波(HIFU)用ナビゲーションシステムの開発を行なっている[1].軟部組織描出能に優れているMRI装置とリアルタイムに生体情報を描出できる超音波診断装置を核としたナビゲーションが治療モニタリング手段として重要な役割を果たす.しかし,術者が効率よくHIFUを照射することは,高い技能を必要とする上,その定量的な評価を行うことは困難であるため,治療時間の延長や未治療領域の残存という問題が発生し得る.そこで,照射位置を半自動的に計画し,効率よい照射を実現する術者支援ソフトウェア機能の開発を行ったので報告する.
【対象と方法】
MR画像上で抽出した腫瘍領域を中心として,二つの直交断面上に体表面にフィットする円弧を設定することで,HIFUの照射位置を決定した.HIFUのエネルギー損失が最小となるように,回転楕円体と近似した照射計画領域の長軸方向が,体表面に垂直となるよう条件を課した.また,各照射計画領域間に距離に応じた仮想的な力を発生させることで,充填度合が調節されるようにした.照射計画領域の長軸,短軸はそれぞれ10,5mmとし,担がんウサギを撮像したMR画像を用いて治療計画を行った.
【結果】
領域抽出した腫瘍4.11ccに対して治療計画を実施した結果,照射計画領域の点数は216点,体積は6.52ccとなった.抽出領域内部の照射計画領域の体積は3.75ccとなり,体積カバー率は91.3%,照射計画領域のオーバーラップ率は35.9%となった.
【考察】
体積カバー率が9割を超えており,腫瘍のほぼ全域を照射計画領域で埋め尽くしていることが確認できた.照射計画領域の重複度合いの指標であるオーバーラップ率は4割弱と若干高いが,対象とした腫瘍の形状が非等方であったことが要因として考えられる.
【結語】
今後,本機能を開発中のナビゲーションシステムに統合し,動物実験において有用性の検討を行う予定である.
【謝辞】
本研究は,総合科学技術会議により制度設計された最先端研究開発支援プログラムにより,日本学術振興会を通して助成されたものである.
1)阿部信隆,仲本秀和,窪田純.超音波治療のためのマルチモダリティナビゲーションシステムの開発Ⅲ. Jpn J Med Ultrasonics Vol.39 Supplement (2012):S346.