Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

一般口演
基礎:音場およびファントム

(S433)

小型容器内の超音波音場発生位置の水位依存変化の可視化

Visualization of ultrasound standing wave fields in small chamber: change in field position depending on water level

小原 浩貴, 工藤 信樹, 清水 孝一

Hiroki OBARA, Nobuki KUDO, Koichi SHIMIZU

北海道大学大学院情報科学研究科生命人間情報科学専攻

Division of Bioengineering and Bioinformatics, Graduate School of Information Science and Technology, Hokkaido University

キーワード :

【はじめに】
我々は,従来のシュリーレン光学系と類似した処理をカメラで撮影した2枚の画像を差分することで実現する画像差分シュリーレン法を提案し,種々の振動子の超音波音場の可視化を行っている[1].また,超音波の生体作用の研究において,シャーレ内に培養した細胞に超音波を照射する実験が多く行われている.接着型細胞に照射を行う際にはシャーレ内部に発生する定在波の腹や節の位置と細胞の位置との関連によって細胞が受ける損傷は大きく異なると考えられる.しかし,シャーレのような小さい容器内の音場測定は難しく,十分な検討は行われていない.本報告では,我々が提案する画像差分シュリーレン法を用いて小型容器内における定在波の発生位置について検討した結果を述べる.
【方法】
実験では光源とカメラを対向して配置し,両者を結ぶ光軸上の中間点に水槽を置き,その下に振動子を接触させた.水槽は,細胞培養用シャーレの断面とほぼ同じ形状の直方体(幅30 mm,奥行き10 mm,高さ15 mm)とした.超音波振動子は,中心周波数2 MHz(λ=0.75 mm)の平面型を用い,波数100波のバースト超音波を発生した.水面には定在波を安定に発生させるために反射板(発泡スチロール)を配置した.今回の実験では,反射板を下方向へ0.1 mmずつ動かすことで水位を変化させ,水槽内の定在波発生位置の変化を調べた.
【結果および検討】
超音波が反射板と振動子面で計6回反射を繰り返した時点における音場を可視化した結果を図(a)に示す.図の白色の破線は反射板の位置を表わし,白線は定在波の腹の位置を表わす.また,図(b)は反射板の位置を0 mmから0.4 mmまで変化させたときのシュリーレン画像の輝度変化波形を示す.これらから水位が変化するとその変化分だけ定在波の発生位置も変化することが確認できた.図(b)に示すように,水位に対応した波面の変化は水槽底部でも同様に起きていることから,接着細胞に対し超音波を照射する場合には水位によって細胞に印加される超音波音場が大きく変化することが,実際の音場可視化を通じて確認できた.本研究の一部は科研費補助金Bにより行われた.
【参考文献】
[1]小原他,信学技報,111(88),31-35,2011.