大槻 茂雄

Shigeo OHTSUKI

医用超音波技術研究所研究部

Resurch Laboratory, Institute of Medical Ultrasound Technology

キーワード :

【目的】
医用超音波カラードプラ画像では，血流に対して超音波ビーム方向の速度ベクトル成分の大きさを色で表している．Echo-Dynamography技術は，この観測面上のドプラ速度情報を渦成分と基本流成分に分解し，解析する技術である．ここでは，三次元渦流がカラードプラ画像にどのように表示されるかを理論的解析方法について示す．また，実データについて検討した．
【対象】
血液の三次元渦流のモデルと実際のカラードプラ画像
【解析】
まず，回転円板のように回転する渦流については，超音波ビーム上ではドプラ速度は一定であることを示す．次に，渦流の軸が観測面に垂直でなく傾いたときは面上で楕円形になるがこのときのビーム軸上のドプラ速度を示す．以上の渦についての解析は，渦の軸方向と大きさを示す渦ベクトルについて，面に垂直成分の画像上で表示されるドプラ解析である．つぎに，渦ベクトルの観測面に平行な成分は観測面ではどのように表示されるかを解析する．これまでは，モデル渦が存在するときのドプラ画像として，どのように表示されるかを検討した．
【実データ】
カラードプラ画像からは，三次元渦流について得られる情報について検討した．Echo-Dynamographyで分解した渦流はほぼ面に垂直な渦ベクトルの成分を表現している．基本流については，面に平行な渦ベクトル成分関連した情報になるが，渦の中心が観測面の上か下かが確定できない．これを明らかにするには，観測面を変えたドプラ画像が必要となる．
【結論】
以上で，三次元渦流についての情報がどの程度得られるかを示した．今後，この情報をカラードプラ画像の理解をを深め，渦の情報が活用されることを期待する．