Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

一般口演
基礎:心臓と血管

(S427)

開口の前方に設定した仮想点音源の走査による心臓断層法の高速化

High frame rate echocardiography by sweeping virtual point source in front of array

長谷川 英之1, 2, 3, 佐藤 雄治3, 金井 浩1, 2, 3

Hideyuki HASEGAWA1, 2, 3, Yuji SATO3, Hiroshi KANAI1, 2, 3

1東北大学大学院医工学研究科, 2東北大学大学院工学研究科, 3東北大学工学部

1Graduate School of Biomedical Engineering, Tohoku University, 2Graduate School of Engineering, Tohoku University, 3School of Engineering, Tohoku University

キーワード :

【1. 目的】
近年,心機能・心筋性状の評価のためには,非常に短時間(10 ms程度)に生じる心臓壁振動の伝播などの計測が有用であることが示された[1].我々はその計測のために必要な数百Hz程度の高いフレームレート(FR)を,超音波プローブ内の仮想点音源から送信される球面波を模擬することにより実現した[2].しかし,この送信波は送信直後から拡散して音圧がビーム方向に単調減少してしまう.本報告では,関心領域(例えば左心室)において上記拡散ビームより高い音圧を得ながら高いFRを実現する手法について検討を行った.
【2. 原理】
本報告では,送信波として通常の集束ビームを用いる.その焦点を関心領域手前に設定し,関心領域近傍から送信波が拡散するようにすることで[3],関心領域における音圧を,送信直後から拡散する場合に比べ向上させることができる.ビームフォーミング時には,送信波面は図(a)に示すように焦点を中心とする円と仮定した.
【3. 実験結果】
CIRS社製超音波画像評価用ファントムmodel 54GSの画像化を行った.図(b)は従来のビームフォーミング法(送信: 集束ビーム(焦点距離70 mm),送信方向数120; 受信: ダイナミックフォーカシング)により得られたBモード断層像(FR: 39 Hz)を,図(c)と(d)は提案手法(送信: 集束ビーム(焦点距離: (c) 30 mm, (d) 20 mm),送信方向数: (c) 15, (d) 7; 受信: ダイナミックフォーカシング)により得られたBモード断層像(FR: (c) 316 Hz, (d) 677 Hz)を示す.画像のダイナミックレンジはいずれも60 dBである.図(c),(d)より,焦点近傍は広いビーム幅が得られないため画像が歪んでしまうものの,それ以外の領域では従来と同様の画像が得られていることが分かる.焦点位置を浅くすれば関心領域での音圧は低下するものの送信波の拡散角度を拡大することができ,より少ない送信回数で画像化を行うことが可能である.
【4. 総括】
本報告では,送信集束ビームの焦点前方に形成される球面拡散波を用いることで高FRが実現可能であることを示した.
【参考文献】
[1]Kanai, IEEE Trans UFFC, 2005.
[2]Hasegawa and Kanai, J Med Ultrason, 2011.
[3]S. Yagi, et al., 2006 IEEE Ultrason Symp Proc, 2006.