Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

一般口演
基礎:その他Ⅰ

(S422)

スペクトル周波数分割を用いたスペックルの低減

Speckle reduction using spectral frequency division

炭 親良

Chikayoshi SUMI

上智大学理工学部情報理工学科

Dept of Info and Commun, Sophia University

キーワード :

【目的・対象】
我々は,スペクトル周波数分割を用いた組織変位ベクトル計測を行っている[1].一方で,その際に得られるエコー信号を用いて,擬似の横方向変調エコーイメージングを行っている.擬似の交差ビームを複数得ることができるのだが,本稿では,それらのインコヒーレント加算によるスペックル低減を行った結果を報告する.一昨年前の当研究会では,輝度の低い円柱状のつめもの(半径10 mm)を含む寒天ファントム[1]を対象とし,開口面合成による正面方向のビームフォーミング時の結果を報告した(リニアアレイ型探触子,公称周波数7.5 MHz).本稿では,同エコーデータに対して,物理的なステアリングに基づく横方向変調を行った際にスペクトル周波数分割を行った結果を報告する.
【方法・結果】
スペックルの低減効果を定量的に評価するべく,CNR (Contrast-to-noise ratio)を用いた[1].スペクトル周波数分割は,縦方向と横方向の8分割の計64分割とした.スペクトル周波数分割は,非変調時(∞λ)に比べて横方向変調波長2λにおいて有効であった(CNR値,未処理の時0.219,∞λから2λの左右40ビーム(sonoCT型)の時0.335,∞λの64分割時0.677,2λの時1.01).つめものがよく描出された(Fig. 1).横方向変調(2λ)時の非変調との重ね合わせは有効であった(1.02)が,3λや4λ等の低周波数の横方向変調との重ね合わせは有効ではなかった(例えば,3λの時,0.891).コヒーレント加算による広帯域化後の分割処理は,当然の如くCNR値を低くした(例えば,2λと3λの時,0.729).我々は,高速ビームフォーミングのために平面波送波を行っているが,横方向変調2λの時は0.834と低くなり,しかし,低周波数の横方向変調との重ね合わせは有効であった(例えば,3λの時,0.851).上記の結果は,いずれもビーム方向とそれに直交する方向の分割を行ったときの結果であるが,直交座標系の2軸方向に分割を行ったところ,CNR値は低くなり(例えば,2λの時,0.683),つめもの内に確認される散乱体の高輝度信号は十字状に描出された.
【考察・結論】
スペクトル周波数分割を通じたスペックル低減は,ステアリング時において,正面方向ビームフォーミング時よりも有効であった.画質は,空間分解能も加味して評価すべきであるが,今回は,主として,CNR値を用いた評価を行った.
【参考文献】
[1]C. Sumi et al, Rep Med Imag, vol. 5, pp. 57-101, 2012.