Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

奨励賞演題:消化器 奨励賞

(S413)

Real-time Tissue Elastographyによるびまん性肝疾患の肝線維化診断

Assessment of Liver Fibrosis with Real-time Tissue Elastography in Chronic Viral Hepatitis

矢田 典久, 萩原 智, 工藤 正俊

Norihisa YADA, Satoru HAGIWARA, Masatoshi KUDO

近畿大学医学部消化器内科

Department of Gastroenterology and Hepatology, Kinki University Faculty of Medicine

キーワード :

【目的】
びまん性肝疾患において,肝線維化診断のゴールドスタンダードは肝生検とされているが,侵襲的検査であり,サンプリングエラーの問題もある.近年,超音波エラストグラフィが開発され非侵襲的に肝線維化を測定できるツールとして注目されている.エラストグラフィには,歪みの描出方法と剪断波伝播速度を測定方法があるが,剪断波伝播速度は炎症・黄疸・鬱血など肝線維化以外の影響を強くうけることが知られている.そこで,歪みの描出法の一つであるReal-time Tissue Elastography (RTE) を用いたC型慢性肝炎の肝線維化評価能について検討した.
【方法】
2010年8月から2012年10月の間,肝生検とRTEを同日に施行したC型慢性肝炎および肝硬変患者169例について,肝生検結果とRTE画像とを比較し検討した.肝生検は,18G針を用いて超音波ガイド下に施行し,門脈域が10個以上含まれる十分なサンプル量であるものを対象とした.RTE画像は,それぞれの画像からLF-Indexを算出し,10回の中央値を用いて評価した.肝線維化血清マーカーである血小板数,AST/ALT比,APRI,Fibroindexを用いた診断能と比較検討した.
【結果】
全例,肝生検のサンプル量は十分であった.Activityは,Fibrosisと有意な相関を示していた(r=0.528, p<0.001).LF Indexは,A0,A1,A2,A3ではそれぞれ1.48,1.85,2.30,2.10と漸増傾向ではあったが有意な相関は示さなかった(r=0.295).一方,F0-1,F2,F3,F4では,1.50,2.16,2.71,3.05と線維化の進行と共に上昇し,有意な相関を示した(r=0.502, p<0.001).また,F0-1・F2間,F0-1・F3間,F0-1・F4間,F2・F4間,F3・F4間で有意差を認めた.LF Index,血小板数,AST/ALT比,APRI,FibroindexでそれぞれのAUROCは,F4の診断(F4 vs. F0F3)では0.842,0.833,0.688,0.797,0.841,F3以上の診断(F3F4 vs. F0F2)では0.875,0.831,0.723,0.784,0.826,F1以下の診断(F2-4 vs. F0-1)では,0.817,0.848,0.670,0.816,0.855であった.
【結語】
RTEは,肝の炎症の影響を受けず,肝線維化の程度に関わらず肝線維化を十分に評価することができるツールである.