Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

特別プログラム 血管
パネルディスカッション25 <教育に活かす> 血管エコー検査のエデュケーション

(S388)

職種や施設に応じた血管エコー検査の到達目標:Vascular Laboratoryの構築に向けて

Goal of vascular ultrasonography according to jobs and facilities: How to construct Vascular Laboratory

松尾 汎

Hiroshi MATSUO

医療法人松尾クリニック

president, MATSUO CLINIC

キーワード :

血管エコーの習得には,1)超音波の原理を知る,2)超音波機器に精通する,3)血管の解剖・生理を知り,血管疾患の病態を知る,4)血管エコーの適応と限界を知る,5)検査手技を習得することが必要である.超音波診断は,「見る」(画像を撮す)から,「観る」(観察・計測する)へと進み,そして「診る」(診療に活かす)と深化する必要がある.そのためには,上記の習得が重要となる.先ず,超音波のピットフォールを知っておき,その応用である機器を活かしきることが求められる.他の画像診断と原理が異なる事を承知しておくことである.そして,血管の解剖,生理,そして病態を知っていなければ,見えていても,診ることはできない.血管エコーの適応は無侵襲故に広く応用可能だが,超音波や機器の特性から観察可能域は限られ,他の画像診断との棲み分けも周知して応用する.例えば頭蓋内は見えない訳ではないが,診るには未だ不十分である.また共通の用語を用い,評価項目も標準化が必要である.併せて検査テクニックも標準的な方法を定め,それに準じて行うことが基本となる.勿論,研究や探索的試行は常に未来を開く鍵だが,日常診療では標準的評価法による施行が必要である.そのために,日超医学会も標準的評価法を提示し,その方向性を提示してきた.血管エコー関連では,頚動脈,下肢静脈,大動脈・末梢動脈,そして現在,腎動脈の案も提示され,頚動脈エコーの改訂などが進行中である.しかしそれらの知識を実際の臨床で活かすためには,エコー名人の存在も必要である.テクニックを磨き,それを活かしきることが,この領域の発展に寄与するからである.多くの実技講習会(「エコー淡路」のように臨床側・検査側,そして血管・心臓のコラボなどもある)が各地で為され,それが大きく発展するための礎になると確信している.では,職種や施設で求められる内容が異なるだろうか?これはひとえに臨床側の要請によると考える.臨床の要請に検査側が応えられない技術不足は克服すべき課題としても,名人も検査指示が出ないと活かされない.臨床側からの指示・要請があって,初めて名人の活躍の場がある.現在,血管エコーの中で最も広く行われている頚動脈を例に挙げるが,生活習慣病領域(ドックを含む),脳卒中診療,そして循環器外科領域(術前検査)で,広く開業医から救急医療,先端医療や治験にまで応用されている.それぞれの求めている内容に差があり,それらに迅速に高い技術で的確に答えることが必要となる.