Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

特別プログラム 体表臓器
パネルディスカッション13 <診療に活かす> カテゴリー3の石灰化を掘り下げる:画像診断の特徴と対策について

(S370)

カテゴリー3の石灰化:病理組織像との対比

Ultrasound-pathological correlation of category 3 calcification

森谷 卓也

Takuya MORIYA

川崎医科大学病理学2

Department of Pathology, Kawasaki Medical School

キーワード :

乳房超音波検査の発展,およびインターベンション手法の発達に伴い,US下で石灰化病変が採取される頻度が増加している.今回,US下で観察される「カテゴリー3の石灰化」に対応すると思われる病理組織型,あるいは病理組織所見について,特に悪性類似良性疾患の視点から考察する.一般に,乳房における石灰化には,壊死型,分泌型,間質型,血管型のものなどがある.壊死型石灰化は,コメド型乳管内癌において,乳管中心部に生じる凝固壊死巣に生じるものであり,定型例であれば画像で比較的容易にこのタイプの乳癌であることが推定可能である.血管型石灰化は,動脈の中膜に生じる良性のもので,加齢とも関連性がある.分泌型石灰化は,管腔内のタンパク様分泌物質に生じるもので,良性疾患および乳癌のいずれにも生じうる.おそらく,「カテゴリー3の石灰化」の多くがこのタイプに帰属するものと考えられる.特に,乳管内乳頭腫や乳管乳頭腫症と非コメド型非浸潤性乳管癌との鑑別は,針生検による病理組織検査でも慎重を要し,確定に至らず摘出生検を要することさえある.また,放射状硬化性病変における構築の乱れなど,他の異常所見が蓄積すると,良性の診断は必ずしも容易ではない.間質型石灰化は,陳旧化した線維腺腫や,硝子様硬化を示す間質部に生じ,その多くは良性疾患である.しかし,乳管腺腫(硬化性乳管内乳頭腫)や乳腺症型線維腺腫では,硝子様間質の分布によっては「構築の乱れ」に相当する変化も併せ持つため,癌との鑑別が難しい症例がある.また,乳腺疾患の概念の変遷により,境界悪性病変についても新たな認識が必要になった.平坦型異型は,異型を伴う上皮に被覆された小嚢胞状拡張乳管の集簇と,内腔の分泌型石灰化を特徴とする.Mucocele-like lesionは,良性から癌を付随している症例まで種々の悪性度を示す症例がある疾患群である.拡張乳管が破綻し間質内に粘液の漏出を伴うもので,粘液内に独特の石灰沈着を生じる.最後に,カテゴリー3の石灰化を発見した場合にはガイド下針生検が施行されるが,十分な描出のもとに石灰化を確実に採取すること,採取標本内の石灰化部位を確実に病理切片にすることが求められ,そのためには診療スタッフの努力と連携が大切であることを改めて強調させていただきたい.