渡邉 良二¹, 山崎 昌典²

Ryoji WATANABE¹, Masanori YAMASAKI²

¹博愛会病院乳腺外科, ²博愛会病院検査科

¹Department of breast surgery, Hakuai Hospital, ²physiology, Hakuai Hospital

キーワード :

【はじめに】
マンモグラフイ（MMG）が乳癌検診に導入され，石灰化病変に対して精査となる件数が年々増加傾向にあり，精査機関では経過観察か生検の適応の判断や，精査が必要な場合には確実なインターベンションの技術が重要になってきた．一方，カテゴリー（C）3の石灰化病変の殆どが淡く不明瞭や微小円形の石灰化で，超音波（US）で認識することが困難なことが多く，診断と治療に難渋することがある．（対象と方法）当院ではMMGで石灰化を認めた場合，まずMMGで石灰化のカテゴリー（C）分類とUSを施行している．石灰化の所見でC-3となるのは，多形性でび慢性（稀），淡く不明瞭で集簇，微小円形で集簇もしくは区域性分布の一部である．C-3以上のものは，インターベンション等の精査の対象となるが，USで悪性を示唆する所見を認めず，微小円形の石灰化で大小不同，濃淡不整のないものや密度の低く数が少ないもの，淡く不明瞭の石灰化で，密度が低く数が少ないものや非常に淡く，モニターの画面上で認識しにくいものは経過観察をしている．USで明らかな所見（石灰化周囲に腫瘤，低エコー域，拡張乳管を含む嚢胞等，または明らかな石灰化）を認めた病変では，基本的にはUSガイド下針生検（US-CNB）または吸引式組織生検（US-VAB: vacuum assisted biopsy）を，USでMMGに対応する明らかな石灰化病変を認めなければステレオガイド下（ST）VAB（MultiCare : LORAD社/Mammotome）を施行している．今回，MMGでC-3の石灰化を呈する非触知病変のインターベンションの診断成績を中心に報告する．
【成績】
2005年3月から2010年5月までにC3以上の石灰化を有する病変（のべ945例）に対して，経過観察をしているものは40％，何らかのインターベンを施行したものは，60％であった．そのうち超音波ガイド下CNBまたはVABを施行したものは25％，ST-VABを施行したものは75％であった．悪性であったものは超音波ガイド下で33％, ST-VABで15％で，そのうちMMGで微小円形の集簇分布は12.1％，区域性分布は8.3％，淡く不明瞭の集簇分布は17.2％であった．また，超音波ガイド下のアプローチを試みたが，確定診断ができずステレオガイド下VABを施行し診断できた症例もあった．
【結語】
超音波で明確に認識できない石灰化の確実な診断は，ステレオガイド下VABが無難である．