Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

特別プログラム 体表臓器
パネルディスカッション1 <診療に活かす> 甲状腺濾胞性腫瘍の超音波診断

(S361)

濾胞性腫瘍の組織弾性像

Tissue Elasticity Imaging of Thyroid Follicular tumors

福成 信博

Nobuhiro FUKUNARI

昭和大学横浜市北部病院外科

Surgery, Showa University School of Medicine, Yokohama Northern Hospital

キーワード :

組織弾性を組織内部の歪みの差から相対的に計測し,Real-timeに画像化できる装置が近年開発,臨床導入されている.超音波装置によってその組織弾性像の捉え方は大きく異なるが,用手的な圧迫や音波をあてることにより組織に歪みを生じさせ,その差を画像化するものが主体である.乳頭癌においては,腫瘍組織自体は周囲の甲状腺組織よりも極めて硬く,組織弾性イメージとして,その差を表すことは容易である.一方,濾胞癌においては,周囲組織との比較のみでは組織弾性の差は捉えることは困難な場合が多い.濾胞癌において腫瘍辺縁部は中心部に比べ,硬い組織として表示されること(Peripheral pattern)が多く,腫瘍内部の不均一性,細胞密度の差を組織弾性イメージングは可視化できるものと期待されている.我々は濾胞癌診断において,内部エコーの不均一性,特に腫瘍辺縁部の低エコー領域が腫瘍内部の細胞密度の差によって生じているものと考え,エラストグラフィによる腫瘍細胞密度の差をもって濾胞癌診断に臨床応用を試みている.病理学的な対比検討からも,腫瘍辺縁部の細胞密度が高いこととエラスト組織弾性イメージングの所見は一致するものと考えられた.組織弾性イメージング法は,現在,様々な方法で開発,臨床導入が行われているものであり,その画像解析においても腫瘍内部の硬い部分の占める比率,Score化,Grade分類やパターン分類などが提唱されているが,未だ定まった方法はない.新たに開発されたShear Wave Elastographyは定量的測定が可能であり,検査者による誤差が少ないと報告されており,今後の開発が期待される.