Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

特別プログラム 体表臓器
シンポジウム15 <治療に活かす> ソナゾイド®による乳腺造影超音波検査の臨床応用

(S358)

乳がん造影超音波所見と予後予測因子との検討

Enhancement parameters of contrast enhanced US may predict prognostic factors of breast cancer

関口 隆三, 黒木 嘉典

Ryuzo SEKIGUCHI, Yoshifumi KUROKI

栃木県立がんセンター画像診断部

Division of Diagnostic Imaging, Tochigi Cancer Center

キーワード :

【はじめに】
栃木県立がんセンターでは当院臨床研究審査委員会の承認を受け,2011年より「超音波造影剤(ソナゾイド)を用いた乳房造影超音波検査による乳腺疾患に対する診断精度向上に関する研究」を開始している.今回,乳がん術前化学療法施行症例の治療開始前造影超音波所見と,予後予測因子との関係について検討したので報告する.
【目的】
超音波造影剤ソナゾイドの,乳がん造影超音波所見と予後予測因子との関係を明らかにすること.
【対象および方法】
対象は2011年11月から2012年10月の間に栃木県立がんセンターにて乳がん術前化学療法が開始され,本研究に同意した14例である.全員女性で年齢は51.0±11.2(31-67)歳,BMI 23.4±7.1(18.1-44.4),最大腫瘍径は5.0±3.1(2.4-13.9)cmである.用いた超音波装置はAplioXG(東芝),探触子はPLT-805ATおよびPLT-704SBTである.造影時の撮影条件は,MI 0.15-0.21, DR 40-50, DG 70-80, 周波数 6.5MHz,視野深度4cm,focusの位置は腫瘍下端とした.超音波造影剤ソナゾイドは0.0075 mL/kgを0.9%生理食塩水10 mLにて前腕静脈より 1 mL/secにて自動注入器を用いフラッシュ投与した.ソナゾイド投与量は0.43±0.14 mL, 平均投与回数は1.6(1-3)回である.乳がんの最大割面にてプローブを固定し,造影モードにてソナゾイド注入開始後から45秒後まで記録撮影された動画をImageLab(Toshiba Medical Systems)を用い,腫瘍内の最大濃染部位にφ5mmのROIを設定し,Time Density Curve(TDC)を作成した.得られたTDCより濃染時間(腫瘍の濃染開始から最大濃染までの時間),半減時間(腫瘍の最大濃染から濃染が半減するまでの時間),腫瘍濃染,濃染傾き,半減傾きについて算出した.TDCより得られた各種パラメータと,予後予測因子−ER,PR,HER2,Ki67,p53,CEA,CA15-3,生検組織の組織学的Grade,核異型,核分裂所見の関係についてSpearmanの順位相関を用い検討した.
【結果および考察】
癌の増殖活性の指標とされるKi67と濃染傾き(p=0.0483),また組織学的Gradeと濃染傾き(p=0.0374)との間に有意な相関が見られ,造影超音波検査による乳がん予後予測への応用の可能性が示された.