Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

特別プログラム 体表臓器
シンポジウム5 <治療に活かす> 乳腺領域におけるエラストグラフィの精度と臨床応用

(S352)

Elastographyにおける半定量的解析(Elasticity index)の有用性について:第一報

Semi-quantitative analysis of ultrasound elastography : initial clinical results of breast lesions

國分 優美1, 五味 直哉1, 何森 亜由美2, 蒔田 益次郎2, 堀井 理絵3, 秋山 太3, 岩瀬 拓士2

Yumi KOKUBU1, Naoya GOMI1, Ayumi IZUMORI2, Masujirou MAKITA2, Rie HORII3, Futoshi AKIYAMA3, Takuji IWASE2

1がん研究会有明病院画像診断部, 2がん研究会有明病院乳腺外科, 3がん研究会がん研究所病理部

1Diagnostic Imaging, Cancer Institute Hospital, 2Breast Surgery, Cancer Institute Hospital, 3Pathlogy, Cancer Institute Hospital, Japanese Foundation for Cancer Resarch

キーワード :

【目的】
用手的な圧迫にて,ひずみを相対的に画像化するStrain (Quasi-Static)Elastography は,良悪鑑別の診断補助として期待されている一方,客観性や定量性の問題を指摘されている.そこで今回Elastographyを用いて半定量的な情報(Elasticity index)を計測し,病理組織型との対比を試みた.
【対象と方法】
2011年9月から2012年2月までGE社製LOGIQ E9およびML6-15探触子を用いて超音波検査を施行し,FNACもしくはCNB,VABによる組織生検,または手術で病理組織診断を得た223症例,252病変を対象とした.252病変の内訳は良性103病変,悪性149病変(非浸潤癌39病変,浸潤癌110病変)である.Elasticity Indexは,関心領域内における画像上の色分布を数値化した指標である.具体的には,得られたひずみ分布の平均(画像上では緑色に表示)を1.0とし,ひずみが小さくなる(画像上ではより青色に表示)に従い最大6.0までの高値を示す指標と定義される.Elastography施行時のプローブによる圧迫は,通常のB-Mode像を得るよりも微弱な初期圧迫とした.撮像を開始してから安定した画像が描出されるまで概ね2-3秒を要するため,微弱な圧迫を3秒以上継続した.圧迫の程度と圧迫の経時的な変化を表す指標として,Qualityグラフがあり,リアルタイムに画面上に表示される.Qualityグラフが高いレベルで安定することを確認し,rawデータを取得した.その後,取得したrawデータから高いQualityを有するフレームを選択し,B-Mode上の病変に関心領域を設定し,Elasticity indexを測定した.
【結果】
Elasticity indexの平均値と標準偏差は,良性病変2.40±1.3,悪性病変3.41±1.3 (P<0.001)であった.悪性病変のうち,非浸潤性乳管癌(39病変) 2.48±1.14,浸潤癌(110病変) 3.73±1.23 (P<0.001)であった.浸潤癌のうち,乳頭腺管癌(26病変) 3.19±1.19,充実腺管癌 (20病変)3.66±1.09,硬癌(55病変) 4.01±1.20で組織型による有意差は認められなかった.
【まとめ】
今回の検討では,良性病変と悪性病変におけるElasticity indexの間に有意差が認められ,その有用性が示唆された.浸潤癌の中では硬癌で平均値が最も高く,組織状態を反映している可能性が考えられた.以上より悪性病変におけるElasticity indexは上昇する傾向にあり,良悪鑑別の診断補助になりうる可能性が示唆された.