Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

特別プログラム 腎泌尿器
シンポジウム12 <診療に活かす> 末期腎不全診療に超音波を活かす

(S340)

バスキュラアクセス管理

Management of the vascular access Function

武本 佳昭

Yoshiaki TAKEMOTO

大阪市立大学大学院医学研究科泌尿器病態学

Urology, Osaka City University Medical School

キーワード :

【目的】
バスキュラアクセスは血液透析患者にとって治療を継続できるかどうか,すなわち自分の生命を維持できるかのどうかにかかわる非常に重要な問題である.したがって,医療に携わる者にとってバスキュラアクセスを患者の目線に立って喫緊の問題として実感できるかどうかが非常に重要になってくる.このようなことから日本透析医学会では2005年にバスキュラアクセスに関するガイドラインが策定された.このガイドラインではバスキュラアクセスの作成法,管理法及びトラブル時の対処法について標準的な治療指針が示され,多くの透析施設でガイドラインに沿ってバスキュラアクセスの管理がなされてきている.そこで日本透析医学会では2011年にガイドラインを改定することになり,新しいガイドラインが策定された.そこで本文では新たなガイドラインで盛り込まれたバスキュラアクセスの管理法について臨床に携わる外科医の理解を深めるために解説することを目的とする.
【結論】
新しいガイドラインにおいてはバスキュラアクセスの日常管理においては以下の6つのステイトメントを提案している.GL-1 VA機能をモニターする確かなプログラムを確立することを推奨する.GL-2 AVFのサーベイランスとしてはVAの血流量の測定を推奨する.GL-3 AVGのサーベイランスとしてはVAの血流量の測定を推奨する.
GL-4 AVGのサーベイランスとしての静脈圧測定が望ましい.
GL-5  AVF・AVGのサーベイランスとしては再循環率の測定が可能である.
GL-6 AVF・AVGのサーベイランスとして超音波検査も可能である.このガイドラインのうち超音波検査が深くかかわっているものは血流量の測定および形態検査である.今回のガイドラインでは種々のサーベイランスを行ってもバスキュラアクセスの開存率が向上しないというメタアナリシスの結果などが報告されていることからできるだけ特別な方法を用いない管理法を提案している.一方超音波検査装置の発展に伴い,3Dエコー画像などがより鮮明に撮影できるようになってきており,バスキュラアクセスのPTA施行時にエコーが使用されることが増えてきている.このような現状から再度バスキュラアクセス管理における超音波の意味を本文ではガイドラインを参考にしながら検討した.