Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

一度このページでloginされますと,Springerサイト
にて英文誌のFull textを閲覧することができます.

cover

2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

特別プログラム 腎泌尿器
シンポジウム12 <診療に活かす> 末期腎不全診療に超音波を活かす

(S339)

透析腎癌の診断〜ACDKに合併した腎癌に対する造影超音波検査の有用性〜

Contrast-enhanced ultrasound assessment of renal cell carcinoma in dialysis patients with acquired cystic disease

児島 康行1, 高比 優子1, 樋上 真由美2, 河村 知史2

Yasuyuki KOJIMA1, Yuko TAKAHI1, Mayumi HINOUE2, Chifumi KAWAMURA2

1蒼龍会井上病院泌尿器科, 2蒼龍会井上病院臨床検査科

1Department of Urology, Inoue Hospital, 2Department of Clinical Laboratory, Inoue Hospital

キーワード :

【はじめに】
透析患者に腎細胞癌(RCC)が高頻度に合併することはよく知られており,当院でのデータでも1.68%の患者にRCCを認め,その発生率は一般人に比べ高いとされている.また透析腎癌はその多くが後天性嚢胞性腎疾患(ACDK)に合併すると報告されている.ACDKは透析歴10年以上でほとんどの腎に発生し,RCCスクリーニング検査が重要と考えられている.しかしACDKでは腎実質を嚢胞が多数占めており腎全体の血流が乏しく造影CTにても腫瘤内の造影効果を認めるのが困難でRCCの診断に苦慮することが多い.わずかな腫瘤内の血流を経時的に観察するには造影超音波検査(CEUS)が有用ではないかと考え,透析患者のACDKに合併したRCCの診断にCEUSを用いその有用性について検討した.
【方法】
2002年7月から2011年12月までの期間に,維持透析患者に対してエコー,単純CTで定期スクリーニングを行い,このスクリーニング検査で嚢胞内に腫瘤性病変が疑われた症例に対してCEUSを施行した.超音波装置はPowerVision 8000 およびAplio (Toshiba Medical Systems)を用い3.75MHzコンベックスプローブを使用した.造影モードはFlash Echo Imaging(FEI法)を用い,focusは腫瘍の下縁に設定した.超音波造影剤レボビスト○Rを300mg/ml,5mlにて経静脈的にbolus投与し,間歇送信にて腫瘍へのperfusionの有無および流入パターンの観察を行った.
【結果】
45例51腎にCEUSで造影効果を認めた.年齢は57±9.9歳で,透析期間は15.1±7.9年と10年以上の長期透析例が多かった.これらの症例に対して腹腔鏡下腎摘除術を施行した.腫瘍径は2.2±1.0cmで,病理結果は49腎がRCCでその他2例がそれぞれオンコサイトーマ,脂肪成分の少ない腎血管筋脂肪腫と診断された.
【考察およびまとめ】
CEUSはヨード造影剤が禁忌の症例にも使用でき,腫瘍径の小さいRCCの診断,また出血性腎嚢胞との鑑別にも有用と考える.特にACDKに合併するRCCはpapillary RCCやACD-associated RCCが多く報告されているが,これらの腫瘍は乏血性であることが多く,診断には大変有用であると考えた.しかし今回ACDKに合併した腎良性腫瘍においてもRCCと同様の造影パターンを呈しており,これらの鑑別には注意しなければいけないと考えた.また最近ではソナゾイド○Rを用いたCEUSを施行しており,今後検討を加えたい.
【参考文献】
1.Kojima Y, Takahara S, Miyake O, et al. Renal cell carcinoma in dialysis patients: a single centerexperience. In J Urol. 2006; 13: 1045-1048
2.European association of urology, guidelines on renal cell carcinoma: http://www.uroweb.org/gls/pdf/NEW09_Renal_Cell_Carcinoma_LR.pdf
3.Tickoo SK, dePeralta-Venturina MN, Harik LR, et al. Spectrum of epithelial neoplasms in end-stage renal disease. Am J Surg Pathol. 2006; 30 : 141-153