Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

特別プログラム 腎泌尿器
シンポジウム1 <診療に活かす> 新規applicationを駆使した泌尿器疾患診断・治療の最前線

(S336)

前立腺癌の診断におけるMRI/US融合テクニックの有用性の検討

The utility of MRI/US image fusion technique in the diagnosis of prostate cancer

鴨井 和実

Kazumi KAMOI

京都府立医科大学大学院医学研究科泌尿器外科学

Department of Urology, Kyoto Prefectural Univeristy of Medicine

キーワード :

【背景】
前立腺癌の診断は触診,PSA測定,超音波ガイド下前立腺生検を基本とするが,特に改善された超音波技術は前立腺癌の早期発見,早期治療に貢献してきた.グレースケール表示と比較してカラードプラ法やエラストグラフィーは検出の精度を向上させ,検査異常部位を生検のTargetとして用いることで,生検本数の減少という点で効率のよい生検を行うことが可能となっている.しかし,最新の超音波技術によっても前立腺の前面にある病変の描出は困難で,いわゆる“hidden tumor”としてその診断のために多数回,また多数か所の生検を必要とする場合があった.一方MRIは石灰化やプローブからの距離といった経直腸的超音波における問題点に影響を受けない.また,3テスラの磁場強度を用いたMultiparametric MRIによって空間分解能やがん病巣描出能も改善し,その結果として超音波検査で認められなかった小さな癌病巣や前立腺前面の癌病巣の描出が可能になっている.我々の施設では超音波検査で癌病巣の描出が困難なPSA高値症例に対して3T-Multiparametric MRIを生検前に行い,MRI-US Fusion Imageに基づいた選択的生検を行ってきたので,その有用性について報告する.
【方法】
2011年7月よりフランスKoelis社のUrostationと韓国Medison社の3D超音波診断装置を導入し,PSA高値または触診にて前立腺癌が疑われ,3T-Multiparametric MRIを生検前に行った50例を対象として前立腺生検を行った.疑わしい部位は3D-MRI画像上にMarkingされ,3D -超音波画像とのVolume RenderingをしたうえでTarget生検を施行した.生検個数はTargetからの2か所に加え,ConventionalなSextant Biopsyの合計8か所とした.MRIで異常所見のない症例に対しては両側のFar Lateral PZより2か所ずつとConventionalなSextant Biopsyの合計10か所とした.
【結果】
対象となった50例のうち,18例で過去に前立腺生検の既往があり,年齢中央値は70歳(42-83歳),血清PSA中央値6.7ng/ml(0.7-67ng/ml),前立腺体積の中央値は34ml(12.7-65ml)であった.生検結果はMRI陽性であった42例中癌陽性が38例(90%),MRI陰性であった8例中癌陽性が1例(12%)に認められた.MRI所見が陽性で癌が検出されたすべての症例においてTarget Coreが陽性であった.MRI所見が陽性で癌が検出されなかった2例は,前立腺尖部前方に小結節があり,恥骨との干渉で針の導入が困難であった症例である.他の2例はMRI所見偽陽性と考えられた.MRI陰性症例に対する系統的10か所生検の結果は,1例のみで左右両葉よりGleason3+3の前立腺癌が検出された.
【結論】
超音波検査で描出が困難な症例でもMultiparametric MRIの情報から得られた癌病巣の疑わしい部位に対して正確なTargetingが行われると,ほぼ間違いなく癌が検出されることがわかった.