石井 桂介¹, 山本 亮¹, 浮田 真吾¹, 笹原 淳¹, 日高 庸博¹, 小林 憲一², 島田 憲次², 竹内 真³, 光田 信明¹

Keisuke ISHII¹, Ryo YAMAMOTO¹, Shingo UKITA¹, Jun SASAHARA¹, Nobuhiro HIDAKA¹, Kenichi KOBAYASHI², Kenji SHIMADA², Makoto TAKEUCHI³, Nobuaki MITSUDA¹

¹大阪府立母子保健総合医療センター産科, ²大阪府立母子保健総合医療センター泌尿器科, ³大阪府立母子保健総合医療センター検査科

¹Department of Maternal Fetal Medicine, Osaka Medical Center and Research Institute for Maternal and Child Health, ²Department of Urology, Osaka Medical Center and Research Institute for Maternal and Child Health, ³Department of Clinical Laboratory Medicine and Anatomic Pathology, Osaka Medical Center and Research Institute for Maternal and Child Health

キーワード :

【緒言】
超音波検査にて巨大膀胱を伴う先天性下部尿路閉鎖を疑った症例で，胎児鏡検査による外性器の評価が診断に有用であったので，経過を報告する．
【症例】
31歳，1経妊1経産．妊娠16週で胎児腹腔内嚢胞を指摘され，妊娠17週に当科を受診した．超音波検査では，羊水過少，腎盂拡張及び長径5cmの腹部嚢胞を認め，下部尿路閉塞による巨大膀胱が疑われた．また，両側大腿の間に長径3cmで壁がスムースで薄い単胞性の嚢胞状構造物を認めた．胎児膀胱穿刺による尿生化学検査では，腎機能予後は良好と推定された．外性器及び嚢胞状構造物の精査を目的に胎児鏡検査を行った．嚢胞は緊満した陰茎であり，壁は薄く内容が透見できた．陰茎海綿体と尿道海綿体が欠損する巨大尿道が疑われた．希望により妊娠18週に人工死産となった．病理解剖では亀頭部以外の海綿体の欠損が組織学的に確認され，巨大尿道の確定診断となった．陰茎と膀胱の間の尿路は閉塞しており，また鎖肛を合併していた．
【結語】
胎児精査に胎児鏡検査が有用であった巨大尿道の1例を経験した．