英文誌(2004-)
特別プログラム 産婦人科
シンポジウム7 <診療に活かす> 産婦人科領域超音波診断の再評価
(S316)
女性骨盤底疾患の評価における超音波検査の有用性
The usefulness of ultrasonography for evaluation of female pelvic organ prolapse and lower urinary tract symptoms
西林 学
Manabu NISHIBAYASHI
地域医療振興協会練馬光が丘病院産婦人科
OB/GY, Jadecom Nerima-Hikarigaoka Hosp.
キーワード :
骨盤臓器脱や腹圧性尿失禁に代表される女性骨盤底疾患の画像による評価法は,従来放射線を用いる検査法が広く行われてきたが,1980年代からこれに加え,超音波検査が有益な方法として位置づけられるようになってきた.様々な画像診断法の中で超音波検査は,①放射線被曝がないこと②MRIなどの高価な医療機器を必要としないこと③外来で簡単に施行できること,などの点で他の検査法と比べメリットがあると思われる.女性骨盤底疾患においてよく用いられる,経会陰走査による超音波検査法(経会陰超音波; perineal ultrasound, translabial ultrasound)は,通常経腹超音波検査に用いるコンベックスプローブを用い,外陰側から骨盤内を観察することで女性骨盤臓器の評価を行う方法で,骨盤臓器脱や腹圧性尿失禁患者などの評価に用いられる.特に近年の超音波診断装置の性能向上により,従来から行われてきた2次元(2D)での評価に加え,3D,4Dでの評価が可能になり,骨盤臓器脱や腹圧性尿失禁などの病態の解明のほか,治療効果の評価などにも用いられるようになってきた.今回は,今までの研究成果についてその一端をお示しし,特に現在urogynecology分野で普及が進んでいるmeshを用いた骨盤臓器脱根治手術(TVM手術)の超音波での評価(Fig.)について,最新の論文に関するご紹介も交えてご報告する.また,一般的な経会陰超音波の検査法や,検査で得られる画像の解説をさせていただき,今後皆様が臨床で経会陰超音波を行っていただく際に少しでもお役に立ててればと考える.