Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

特別プログラム 産婦人科
シンポジウム6 <科学に活かす> 超音波の新技術・ソフトウェアを使いこなす

(S314)

Dual Dopplerを使った胎児不整脈評価

Assessment of fetal arrhythmia using Dual Doppler in hepatic vein and descending aorta

加地 剛, 中山 聡一朗, 前田 和寿, 苛原 稔

Takashi KAJI, Soichiro NAKAYAMA, Kazuhisa MAEDA, Minoru IRAHARA

徳島大学病院周産母子センター

Obstetrics and Gynecology, Tokushima University Hospital

キーワード :

通常のパルスドプラ法ではサンプルボリュームは1つであるが,Dual Dopplerでは2つ設定できる.2つのサンプルボリュームに対し交互にパルス波を送受信し,同時に2カ所のドプラ信号を検出する.すなわちDual Dopplerを使うと同一画面上の任意の2カ所 のドプラ信号を同時に記録できる.また得られたドプラ信号は別々に表示される.我々はDual Dopplerを使って肝静脈と下行大動脈血流の同時計測(HV-DAO法)を行い胎児不整脈の評価を行っている.
HV-DAo法:胎児腹部の横断面で,肝静脈が下大静脈に合流する部位を描出し,サンプルボリュームを肝静脈と下行大動脈それぞれに置いて同時に血流を記録する.肝静脈のA波が心房収縮,下行大動脈のV波が心室収縮を意味する.妊娠16〜39週の胎児不整脈26例に施行し,全例で診断が可能であった.診断の内訳は心房期外収縮:16例 心室期外収縮:5例 完全房室ブロック:3例 2:1房室ブロック:1例 上室性頻拍:1例であった.出生後まで不整脈が持続していた症例では心電図にて確認を行った.
HV-DAO法のメリット:
1) 計測が容易かつきれいに描出が可能:肝静脈は,腹部の横断面で容易に描出できる.また3本あるため胎位によらず超音波ビームの入射角度を小さくでき鮮明なA波を得やすい.特に右肝静脈の描出は容易なことが多い.
2) 不整脈の評価がしやすい:実際の不整脈において従来のドプラ法ではA波とV波の同定が困難な場合も多い.しかしながらHV-DAo法ではA波とV波が全く別々に表示されるので同定が非常に容易である.
【まとめ】
HV-DAo法は従来のドプラ法同様に心房や心室の収縮によっておこる血流から間接的に評価するため,不整脈の診断には限界がある.しかしながら測定が比較容易なだけでなく,A波(心房収縮)とV波(心室収縮)の同定が簡単であり不整脈の評価も行いやすい.