Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

特別プログラム 産婦人科
シンポジウム6 <科学に活かす> 超音波の新技術・ソフトウェアを使いこなす

(S314)

胎児心臓超音波検査法学習ソフトウェアの開発

Development of new software to learn the fetal cardio-echography

福家 信二, 中井 祐一郎, 張 良実, 前田 岳史, 下屋 浩一郎

Shinji FUKE, Yuichirou NAKAI, Yangsil CHANG, Takeshi MAEDA, Koichiro SHIMOYA

川崎医科大学産婦人科

Obstetrics & Gynecology, Kawasaki Medical School

キーワード :

【序論】
胎児超音波検査法として,様々な検査法が開発されてきた.特に近年STIC法(4D超音波)と呼ばれる時相データを有した3次元超音波検査法は,胎児心臓超音波においての有用性が報告されている.この検査法の最大の利点は,CTやMRIと云った検査法と同様に3次元データをデジタル化して保存でき,任意の断面を再構築できることにある.つまり再構築性(再現性)と共有化が可能となることが最大の利点と考えられる.しかしながら,現状の4D超音波データは一方向からの2次元断層像の集合体であり,元の2次元画像の質が4D超音波データの質に影響するといえる.従って,検査者の技量に影響を受けることはやむを得ない.また,4D超音波データの解析にも立体的な心臓構築の理解が必要である.以上をまとめると,元の2次元断層像の質を向上させるためには,十分な超音波技能と3次元的な心臓解剖の理解を必要とするといえる.しかしながら,3次元的な心臓解剖の理解を伴った超音波技能の向上には,日々の臨床の現場しかないのが実情である.また,実際立体的な心臓構築を習得する目的で,STIC法を使用する場合,高額なSTICが可能な超音波装置とDICOMデータを用いてのみ,それが可能となるので,大きな制約が存在するといえる.このため,我々は,前述した制約なく,胎児心臓に対する十分な超音波技能と3次元的な解剖理解を得るために,胎児心臓超音波検査学習ソフトウェアの開発の必要性を痛感している.
【目的】
患者データを利用しない汎用的・安価で誰でもが利用できる胎児心臓超音波検査法学習ソフトウェアの開発を行っている.
【対象】
妊娠26週の正常胎児心臓超音波検査データ(STIC法によって得られたデータ)を用いた.本データは心臓の1周期分のデータを持つが本研究はプロトタイプのものであり,1周期分のデータのうちの1時相を用いた.
【方法】
前述した正常胎児心臓3次元データをStaticVCIと呼ばれる方法で処理した.処理内容は,心臓3次元データの基準点を決定後,それをXYZ軸上の(0,0,0)に配置し,XY平面・XZ平面・YZ平面に平行な断面を各1mmスライスした.そして得られた2次元超音波断層像を各平面毎に分類した.次に得られた画像データをPCに移行後,画像ソフト(Photoshop,Illustrator等)で下処理をし,この画像データを市販されている3DCGソフトウェア(LightWave 3D)に下絵として導入した.そしてこの下絵を参考にして,心臓内腔・大血管構造を持った胎児心臓を3DCGで作製を行った.作製された胎児心臓の3DCGデータをさらに,無料ソフトウェアであり,任意断面から内腔構造を立体視できる3DCGソフトウェアであるGoogle SketchUpに導入して,任意断面の心臓構築像が確認可能となった.
【結論】
本法によりDICOMに依存しないPC上で胎児心臓の構築を確認し得たが,元データは心周期の動画データであり,各時相に応じた心臓構築を3DCGで作製できれば,1周期の心臓の構築確認が可能となる.また将来的に心臓構築以外の胎児の臓器を作ることができれば,胎児心臓超音波検査において,胎位や骨格のアーチファクトを学習できる超音波シミュレーター構築の可能性が示唆される.