花岡 有為子, 伊藤 恵, 請田 絵美子, 森 信博, 金西 賢治, 田中 宏和, 秦 利之

Uiko HANAOKA, Megumi ITO, Emiko UKETA, Nobuhiro MORI, Kenji KANENISHI, Hirokazu TANAKA, Toshiyuki HATA

香川大学医学部母子科学講座周産期学婦人科学

Department of Perinatology and Gynecology, Kagawa University School of Medicine

キーワード :

HDliveは近年開発された新しい画像表示法で，従来からの3D／4D超音波像を胎児鏡で見られる映像の様によりリアルなサーフェイス画像構築する技法である．撮像対象に仮想光源を照射することにより陰影が出来るためより立体感のある画像となり，また肌色をベースとしたカラー表示によりリアリティー高い画像となる．この仮想光源は照射の方向を調整することが可能で，撮像対象を視点方向から照射した場合はスポットライトが当たった様に明るく表示され，背側から照射した場合は逆光を受けたシルエットの様に薄暗く表示される．従来の3D/4D超音波で妊娠中・後期の胎児の顔を描出した場合，しばしば凹凸に乏しい，無表情などと感じることがあるが，HDliveでは鼻翼やほうれい線，口や目の間隙に陰影がつくため，より立体的な画像が得られる．一方，外表異常のみられる胎児の出生前診断においても有用であると思われる．我々の経験した症例では，cystic hygromaの皮下の嚢胞や浮腫は透見像として得られた．また，acraniaにおける露出した脳やearly amniotic band syndromeにおけるamniotic bandなどはHDliveを用いるとより明瞭に描出された．
3D/4D HDliveの誕生により，従来よりも明瞭な胎児の顔面像は母子の愛着形成において有用であると思われた．また，リアリティーの高い画像は出生前診断の精度の向上やカウンセリングへの利用，胎児顔面の描出がより明瞭になり細かな動きが観察できることから胎児行動学への応用が期待される．
【参考文献】
Hata T. et al. Three-dimensional HDlive rendering image of cystic hygromaJ Med Ultrason. 2012. doi:10.1007/s10396-012-0419-y.
Hata T. et al. Three- and four-dimensional HDlive rendering image of fetal acrania/exencephaly in early pregnancy. J Med Ultrason. 2012. doi:10.1007/s10396-012-0420-5.
Hata T. et al. Three- and four-dimensional HDlive rendering images of normal and abnormal fetuses: pictorial essay. Arch Gynecol Obstet. 2012;286:14315.