Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

特別プログラム 消化器
シンポジウム3 <科学に活かす> 肝脂肪沈着の画像を科学する

(S268)

脂肪肝の造影超音波診断

Contrast enhanced ultrasound in the diagnosis of fatty liver

飯島 尋子1, 2, 山平 正浩1, 吉田 昌弘1, 田中 弘教1, 2, 西口 修平2, 廣田 誠一3

Hiroko IIJIMA1, 2, Masahiro YAMAHIRA1, Masahiro YOSHIDA1, Hironori TANAKA1, 2, Shuhei NISHIGUCHI2, Seiichi HIROTA3

1兵庫医科大学超音波センター, 2兵庫医科大学内科肝胆膵科, 3兵庫医科大学病理学講座病院病理部門

1Ultrasound imaging center, Hyogo college of medicine, 2Depertment of Internal Medicine, Division of Hepatobiliary and Pancreatic Disease, Hyogo college of medicine, 3Department of Surgical Pathology, Hyogo College of Medicine, Hyogo college of medicine

キーワード :

【目的】
非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)は非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の10〜20%を占め,その5〜20%が肝硬変に進行すると報告されており,脂肪肝からの拾い上げは臨床的に重要である.私たちはこれまで,経静脈性超音波造影剤Levovist(以下Levo)のNASH診断について報告してきた.今回,Sonazoid (以下Sona)での検討を加えたので報告する.
【対象・方法】
病理組織学的にNASHおよび脂肪肝(FL)と診断した症例における造影超音波(CEUS)検査によるそれぞれの診断能を比較検討した.造影剤は,Levovist CEUS : NASH35例,FL6例,Sonazoid CEUS : NASH32例,FL5例.使用機種は東芝AplioXG,500.超音波造影剤はLevovist1.25g,Sonazoidは肝腫瘍における標準投与量は0.015ml/kg であるが,生理食塩水で用手的に希釈し,1/1200量をbolus静注し,各々20分後と40分後で右肋間走査により高音圧で照射し得られた画像をoff-lineにて輝度解析した.
【結果】
NASHとFLの臨床背景を比較したところ,性別,年齢,BMI,腹囲に有意差はなかった.血液検査値では血清鉄のみ有意差を認めた.また,Levo20およびSona40は,いずれも有意差を認めた.血清鉄はNASHで平均122.8μg/dlでありFL平均81.8μg/dlより高値であった.(p<0.05)Levo20はNASHで平均26.2,FL平均124.9,Sona40はNASHで平均72.9,FL平均145.7といずれもNASHで低くなった.NASHの診断能についてROC曲線を用いて解析すると,曲線下面積は血清鉄0.913,Levo20 0.995,Sona40 0.881とLevo20の診断精度が高かった.
【考察】
今回の検討でLevo20,Sona40がNASHで有意に低値であり,脂肪肝患者からNASHを拾い上げ肝生検で精査することの一助になると考える.Levoの方が診断能が高い理由は両造影剤ともKupffer細胞に貪食されるがSonazoidの方が相対的に多い量貪食されるためNASHとFLの境界病変での診断能が低下する可能性また,脂肪肝の程度が高度の場合単位面積あたりのSonazoidの貪食量が少なく見かけ上輝度値が低下している可能性が示唆される.今後症例数を増加させ検討する必要がある.NASHで血清鉄が有意に高値となったことは酸化ストレスがNASHの一因となっていることが示唆される.
【結語】
超音波造影剤LevovistとSonazoidはNASHの拾い上げに有用である.