英文誌(2004-)
特別プログラム 循環器
パネルディスカッション21 <治療に活かす> 3D経食道エコーで見る弁膜症手術のためのポイント
(S244)
3D経食道心エコー検査による僧帽弁形成術前評価
Preoperative Evaluation for Mitral Valve Repair Using 3-dimensional Trans-esophageal Echocardiology
北井 豪
Takeshi KITAI
神戸市立医療センター中央市民病院循環器内科
Department of Cardiovascular Medicine, Kobe City Medical Center General Hospital
キーワード :
僧帽弁(Mitral Valve: MV)逸脱症に伴う重症僧帽弁閉鎖不全(Mitral Regurgitation: MR)に対しては,僧帽弁置換術と比較して手術死亡が少なく遠隔期の弁関連合併症も少ないことから,僧帽弁形成術(MV Repair)が第一選択術式となっている.僧帽弁形成術の目的は,1)僧帽弁逆流の制止 2)左室機能の回復 3)遠隔期合併症の回避である.僧帽弁逆流の制止に関しては,手術技術の向上により経験のある外科医であれば90%以上の症例で再現性に高い形成術が可能となっている.しかし,再現性の高い形成術を可能にするには手術技術もちろんのこと,術前の病変形態の評価が大切である.経胸壁心エコー図に比較して,経食道心エコー図では詳細な逸脱部位の観察や弁輪,両弁尖の観察が可能であり有用である.さらに,近年のリアルタイム3D経食道心エコー図では,任意の2D断面を切り出す事により,さらに詳細に逸脱部位の観察ができるのみならず,術野と同じ視野で左房からみた僧帽弁の描出(Surgeon’s View)を可能にした.これにより,術前に形成術の戦略をたてることが可能となり,術前評価の重要性が増したといえる.従来の経胸壁心エコー図,および2D経食道心エコー図が僧帽弁逸脱の評価に有用であることは周知の事実である.近年使用が可能となった3D経食道心エコー図は,リアルタイムに3D画像を描出できるのみならず,3D経胸壁心エコー図に比べて極めて鮮明な画像を得る事ができる.従来の2D経食道心エコー図では診断が難しかった交連部も,full volume画像や2D zoom画像をMPR表示することで,正確に診断できるようになった.また,弁輪部も含めた弁組織全体を定量的に解析できる解析ソフトの利用も極めて有効である.ここでは,基本的な3D経食道心エコー図の利用法を従来の方法とあわせて紹介する.