Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

特別プログラム 循環器
パネルディスカッション14 <診療に活かす> 負荷心エコー検査:From A to Z

(S236)

運動負荷心エコーの実際

Exercise Stress Echocardiography for Heart Disease

坂田 好美

Konomi SAKATA

杏林大学医学部第二内科

Second Department of Internal Medicine, Kyorin University School of Medicine

キーワード :

【目的】
現在,おもに施行されている運動負荷心エコーには,①トレッドミル負荷,②座位エルゴメーター負荷,③臥位エルゴメーター負荷がある.トレッドミル負荷,座位エルゴメーター負荷では,負荷中の心エコー画像の描出が困難であるが,臥位エルゴメーター負荷では,薬物負荷心エコーと同様に,負荷中の画像も評価できるため,より詳細な心筋動態評価・心機能評価が可能と考えられる.また,運動負荷は,薬物負荷と比較してより生理的な検査であり,日常生活の運動耐容能の評価も可能である.そして,心筋症や弁膜症の予備心機能の評価も可能と考えられる.
【対象】
心筋梗塞症例における心筋viabilityの評価,冠動脈疾患を疑う症例における心筋虚血誘発の評価,肥大型心筋症例における運動誘発性左室流出路狭窄の評価,拡張型心筋症や弁膜症の運動耐容能および予後評価,肺高血圧症例の診断・重症度評価など,における,運動負荷心エコーの有用性を確認する.
【方法】
臥位エルゴメーター負荷心エコーを施行する.臥位エルゴメーター負荷は,25W, 50W, 75W, 100W, 125Wの各stageを3分間施行する.負荷中止基準は,(220-年齢)の85%以上の心拍数,あるいは下肢疲労や胸部症状の出現である.心エコーは,負荷前,各stage中,負荷後に画像の記録を行う.壁運動の評価法としては,検査中に評価する視覚的評価法と,負荷後に評価するstrainおよびstrain rateを用いた定量的評価法がある.
【結論】
運動不可な症例においては薬物負荷のほうが有用であるが,運動が可能な症例においては,運動負荷心エコーはより心拍数の上昇・Double productの上昇が得られ(277±63 vs. 198±54: p<0.01),とくにβ遮断薬服用中の症例においては,運動負荷のほうが薬物負荷より充分な負荷をかけることが可能である.運動負荷心エコーによる冠動脈疾患の診断率は,今までの報告では,感度78-97%, 特異度64-100%で,運動負荷心電図より診断率が高く,負荷心筋シンチグラフィーに匹敵する診断率(特に特異度が高い)が得られるという報告もある.特に,LMT病変や多枝病変例については,負荷心筋シンチグラフィーより負荷心エコーのほうが診断率の高い(94% vs. 75%; p<0.001).また,安全性については,ドブタミン負荷と比較して運動負荷では合併症発生率が低い(0.00015% vs. 0.0018%).運動負荷心エコーは,心疾患症例の評価に有用な検査法である.