Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

特別プログラム 循環器
シンポジウム18 <治療に活かす> カテーテル治療における心エコーの役割

(S226)

カテーテルアブレーションにおけるICE(Intracardiac Echocardiography)の役割

Catheter Ablation using Intracardiac Echocardiography

井上 耕一, 岩倉 克臣

Koichi INOUE, Katsuomi IWAKURA

桜橋渡辺病院心臓血管センター

Cardiovascular Center, Sakurabashi Watanabe Hospital

キーワード :

近年,心房細動(AF)症例を中心としてカテーテルアブレーションが広く普及してきた.AFアブレーションは主に解剖学的アプローチで行われるため,心臓とその近傍の解剖,カテーテルの位置,通電した位置等を三次元的に把握することが特に重要である.しかし,これは,必ずしも容易なことではない.一方,従来の心腔内エコー(ICE)は,単一素子が回転して同心円状の画像を描出できるのみであった.このためアブレーションでは,心房中隔穿刺の補助として使用されることがある程度だった.2012年から使用可能となったSOUNDSTARと呼ばれるICEは,Phased Array方式が採用されている.ICEと平行の断面が見られるようになり,屈曲操作もできるため,アブレーションでの有用性ははるかに高まった.太さ10Frでシースを介して大腿静脈から挿入でき,ドップラー検査も可能である.さらに特筆すべきは,ICE先端に付いた特殊な磁気センサーで,三次元マッピングシステム(CARTO)と連動できることである.これにより,ICEがどの位置にあり,どちらに向いており,どこがエコー画像として映っているかが,一目瞭然となる.このReal-time Visualizationと呼ばれる機能により,通電位置,カテーテルと心筋のコンタクト,心タンポナーデの有無などのモニターが可能となった.また,三次元CT画像をSuperimposeさせる機能(CARTOMERGE機能)があり,より簡単に解剖学的位置の把握できる.この機能はと呼ばれるが,正確なMERGEを得るのはしばしば難しかった.最新のCARTOシステムには,エコー画像をもとにしてMERGEを行う機能(SOUNDMERGE機能)がある.この機能を活用することでアブレーション手技は以前よりも容易となった.現在,主に我々が提唱したプロトコールが,SOUNDMERGEの標準的な方法となっている.この最新のICEの導入後,我々のAFアブレーション症例におけるレントゲン透視時間及び被曝量は劇的に減少した.私的な経験では,平均的な症例での透視時間は5〜10分以内と冠動脈造影と同程度,被曝量は0.5mSv以下と冠動脈造影の数分の1以下である.このように,レントゲン透視と心内心電図の世界であった電気生理にも,超音波の技術が導入され,より容易に,より安全で,より負担の少ないアブレーションが実現しつつある.