杜 徳尚¹, 木島 康文¹, 麻植 浩樹², 赤木 禎治³, 伊藤 浩¹

Norihisa TOH¹, Yasufumi KIJIMA¹, Hiroki OE², Teiji AKAGI³, Hiroshi ITO¹

¹岡山大学循環器内科, ²岡山大学病院超音波診断センター, ³岡山大学病院循環器疾患治療部

¹Department of Cardiovascular Medicine, Okayama University Graduate School of Medicine, ²Center of Ultrasonic Diagnostics, Okayama University Hospital, Okayama University Hospital, ³Cardiac Intensive Care Unit, Okayama University Hospital

キーワード :

本邦でも心房中隔欠損症（ASD）に対するカテーテル閉鎖術は2006年の保険診療認可以降，多くの症例に対して行われてきた．閉鎖術に際してASDの欠損孔の位置やサイズを含めた形態の評価を行うことは重要であり，経胸壁心エコー図検査（TTE）が初期検査として多く用いられている．さらに，ASDは右室容量負荷のかかる疾患で治療後の心血管事故を予測するうえでも右心系のサイズを正確に評価することは重要であり，こちらもTTEを用いて評価される事が多い．しかし，TTEは簡易である反面，描出可能な断層像に限界があり，欠損孔や右心系の正確なサイズ評価として十分であるかについては議論がある．最近，腹部や乳腺超音波の領域では磁気発生装置を応用して，エコー機器本体に取り込んだCT （もしくはMRI）画像データと超音波画像を同期させて，同一画面上にリアルタイムで同期して表示させることが可能であり，既に生検や治療などの臨床で用いられている．そこで今回，我々はこのシステムを心エコー図検査に応用しTTEで得られたASD欠損孔と右心系サイズをCTと同一断面で比較・検討した．カテーテル閉鎖術予定の12例の二次孔欠損型ASDを対象とし全例にMDCTとその一週間以内にTTEを施行した．MDCTのデータを心エコー図機器本体に取り込んだ後，TTE画像とMDCT画像が同一画面に表示され，解剖学的に一致する部位を各々の画像で指定することで，MDCT画像はTTE画像と同期して表示される（図）．このようにしてMDCTと解剖学的に同一断面のTTE画像を得た後，各心腔と欠損孔のサイズを計測し，比較・検討した．左室，左房，および欠損孔のサイズはMDCTとTTEで良好な相関を示し（p=0.94, 0.94, and 0.92, all p＜0.05），両計測値で有意差を認めなかった（all p=ns）．しかし，右室と右房のサイズは両計測で良好な相関を認めたものの（p=0.94 and 0.92, both p＜0.05），TTEの計測値はMDCTと比較して有意に小であった（both p＜0.05）．フュージョンイメージングを用いることで，TTEでは右心系サイズは過小評価されることがMDCTとの同一断面での比較で示された．本演題ではASDに対するカテーテル閉鎖術において，新開発のフュージョンイメージングとこれまでの心エコー図検査の活用について考察する．