Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

特別プログラム 領域横断
パネルディスカッション5 <治療に活かす> 3Dエコーをいかに活用するか

(S182)

乳腺領域における三次元(3D),四次元(4D)造影超音波およびエラストグラフィの有用性

Utility of three/four-dimensional Contrast-enhanced ultrasound and elastography in the diagnosis of breast tumors

位藤 俊一, 水野 均, 飯干 泰彦, 山村 憲幸, 藤井 仁, 人羅 俊貴, 藤井 亮知, 大橋 朋史, 中川 敬也, 伊豆蔵 正明

Toshikazu ITO, Hitoshi MIZUNO, Yasuhiko IIBOSHI, Noriyuki YAMAMURA, Hitoshi FUJII, Toshiki HITORA, Ryochi FUJII, Tomofumi OHASHI, Takaya NAKAGAWA, Masaaki IZUKURA

地方独立行政法人りんくう総合医療センター外科

Surgery, Rinku General Medical Center

キーワード :

超音波(US)検査は簡便かつ侵襲の少ない必須の検査法として,乳腺領域では検診をはじめインターベンションの応用まで種々の目的で日常臨床において行われている.CTやMRIのダイナミックスタディでは三次元(3D)画像表示が不可欠な診断技術の一つとして確立されている.一方,超音波診断装置の進歩により3D US画像表示に要する時間が大幅に短縮され,肝臓領域,循環器領域だけでなく乳腺領域においても超音波3D画像だけでなく3D実時間表示である四次元(4D) US画像を臨床応用可能となった.ソナゾイド®CEUSは2012年8月に乳腺腫瘤に対して保険適応となり臨床応用が始まっているBモードやカラードプラ法の3D volume dataによる体積計算や冠状断面での広がり診断など臨床への応用はすでに日常的に行われている1)2)が,造影超音波(CEUS)やエラストグラフィ(エラスト)による3D/4D USの評価は十分には行われていないのが現状である.今回われわれは乳癌治療症例における3D/4D CEUSおよび3D/4Dエラストのデータ採取を試み,臨床的有用性や問題点を検討したので報告する.
【対象と方法】
3D/4D CEUS and/or elastoを治療前and/or治療後に施行した乳癌症例を対象とした.超音波診断装置は,3D/4D CEUSに関しては東芝メディカル社製APLIO 500,3D/4D elastoに関しては日立アロカ社製ASCENDUSを,探触子はPLT-1204MVおよびEUP-LV74を使用した.CEUSに用いたソナゾイド®は0.015mL/kg体重を急速静注し生理食塩水10mLにてフラッシュした.
【結果】
CEUSに関してはvascularityの高い腫瘍では3D/4D画像による血流評価が多断面で評価可能であった.Vascularityが比較的低い腫瘍や2DでのCEUS評価の後に3D/4D CEUSによる評価を場合には血流評価が不十分になりやすい傾向であった.3D/4Dエラストでは術前に腫瘤の硬さや浸潤部の広がり診断に関して立体的に評価できる可能性が示唆された.乳管内進展などの広がりの評価に関しては,現状ではモニタ画像を同時に描出できないことが問題点として挙げられた.術後の評価に関しては,特にラジオ波焼灼療法施行症例において,3D/4Dエラストを行うことによりablation zoneの境界が鮮明になり,かつ硬さによる治療効果判定が容易であった.
【結論】
3D/4D CEUSに関してはvascularityの高い腫瘤において有用性が示唆された.Vascularityの比較的低い症例においては今後の検討が必要である.3D/4D elastoに関しては形状や境界の明瞭な腫瘤では評価可能であり有用である.また,ラジオ波治療後の評価は有用であることが示唆された.
【参考文献】
1)Weismann CF, Datz L. Diagnostic algorithm: How to make use of new 2D, 3D and 4D ultrasound techniques in breast imaging. Eur J Radiol 2007;64:250-257.
2)位藤俊一 et al.:乳腺領域における3次元,4次元超音波の現状と可能性,超音波医学 2005,36:657-667