今井 康晴, 安藤 真弓, 佐野 隆友, 村嶋 英学, 宮田 祐樹, 平良 淳一, 杉本 勝俊, 森安 史典

Yasuharu IMAI, Mayumi ANDOH, Takatomo SANO, Eigaku MURASHIMA, Yuuki MIYATA, Jun-ichi TAIRA, Katsutoshi SUGIMOTO, Fuminori MORIYASU

東京医科大学消化器内科

Department of Gastroenterology and Hepatology, Tokyo Medical University

キーワード :

【目的】
3次元超音波（3D-US）は，専用の超音波プローブで等間隔の多数断面情報であるvolume dataを取得し，立体表示したものである．そのメリットは，臓器の立体関係を客観的に表示できることだけでなく，体表と平行な断面（C plane）を表示することも可能なことである．肝癌治療においては，肝腫瘍の存在診断・質的診断（ターゲッティング），肝癌局所治療におけるモニタリング，肝癌治療効果判定に3D-US の有用性が期待される．また，また，リアルタイム3D-USの開発も進み，局所療法の穿刺ガイドにも応用されつつある．今回，当科での経験症例から肝癌に対する経皮的局所療法における3D-USの有用性と今後の展望について考察した．
【対象と方法】
対象は東芝メディカルシステムズ社製Aplio XGのmechanical 4D probeガイド下に穿刺してRFAを行った肝癌 23例およびフィリップス社製iU22のelectric 3D probeであるX6-1を用いて肝癌RFAにおけるモニタリングを行った41例である．Aplio XGによるRFA穿刺は，4D probeにアダプターを装着し，穿刺時に描出している断面（A plane）と垂直方向の断面（B plane）も同時に表示して針先を確認しながら行った．iU22による治療モニタリングは，RFA治療中あるいは治療後にRFA 穿刺部をなるべく描出しながらB-mode，xPlane（B-modeに対するチルト方向および直交方向のリアルタイム2断面画像描出），3D（Single sweep），リアルタイム3D（4D）の画像を取得した．必要に応じてSonazoidによる造影超音波を併用した．
【結果と考察】
（A）Aplio XGによるRFA穿刺：1）B planeにおいても腫瘍中心と穿刺方向の関係が把握できるため，より正確な穿刺が行えた．2）Volume rateを上げると，画像の空間分解能が低下して穿刺が困難となることがあった．（B）iU22によるRFAモニタリング：1）3D画像はmechanical probeに比べて短時間で取得でき，C plane画像も良好で治療範囲と周辺臓器との関係を客観的に把握できた（図1）．2）RFA治療中の4D画像によるC plane観察はさらに有用性が高いと思われたが，現段階では空間分解能に限界があり，今後，改善の余地があると思われた．
【結語】
肝癌局所療法における穿刺，治療モニタリングとして3D-USの有用性は高いが，リアルタイム3Dとして汎用して行くには，時間分解能，空間分解能に改善の余地があると思われる．