Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

特別プログラム 領域横断
シンポジウム21 <科学に活かす> Shear wave imaging の現状と将来

(S177)

乳腺診断における shear wave imagingの応用

Clinical application of shear wave imaging in breast diagnosis

梅本 剛1, 植野 映2

Takeshi UMEMOTO1, Ei UENO2

1公益財団法人筑波メディカルセンター診療部門乳腺科, 2公益財団法人筑波メディカルセンターブレストセンター

1Department of Senology, Tsukuba Medical Center Foundation, 2Tsukuba Medical Center Foundation, Breast Center

キーワード :

ひずみを用いた手法に基づく超音波組織弾性イメージング(strain imaging:SI)の臨床応用により,組織弾性(硬さ)という質的な特性を簡便,迅速かつ非侵襲的に得ることが可能となった.乳腺領域においては,良悪性診断の精度向上や侵襲的検査の回避に寄与するなど,その臨床的有用性に関する報告が多くみられる一方,手技依存性や定量性といった課題も指摘されている.近年,焦点化した超音波あるいは音響放射圧を利用して関心組織を微小変位させ,生体内部にせん断弾性波(shear wave:SW)を発生させる技術が実用化され,SWの伝搬速度の測定による組織弾性推定が可能になった.この,せん断弾性波を用いた手法に基づく超音波組織弾性イメージング(shear wave imaging:SWI)は,検査手技に依存しない,再現性の高い検査である,と報告されているが,SIに比べて臨床実績が少なく,乳腺領域においては,その診断基準が明確でない側面もある.SIが「応力負荷に伴う関心組織のひずみ」を検出し,画像を構成(あるいは半定量化)するのに対して,SWIは「関心組織のせん断弾性波の伝搬速度」を検出し,数値化あるいは画像を構成しているため,SIとSWIとから得られる組織弾性に関する情報は,必ずしも同一のものとは限らない.また,いずれの装置においても,簡単化した組織モデルに基づいた手法が適用されているため,組織モデルと実際の生体組織との相違による誤差やアーチファクトを生じうると考えられる.当施設におけるSWIの臨床経験をもとに,乳腺診断におけるSWIの特性,SIから得られる弾性像所見との違いについて述べたいと考えている.