Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

一度このページでloginされますと,Springerサイト
にて英文誌のFull textを閲覧することができます.

cover

2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

特別プログラム 領域横断
シンポジウム20 <治療に活かす> 超音波ガイド下穿刺手技を用いた検査・治療の現状と問題点

(S171)

肝疾患に対する超音波ガイド下アプローチの現状

Ultrasound-Guided procedures for liver disease

徳永 志保, 孝田 雅彦, 木科 学, 三好 謙一

Shiho TOKUNAGA, Masahiko KODA, Manabu KISHINA, Kenichi MIYOSI

鳥取大学医学部機能病態内科学

Second Derpartment of Internal Medicine, Tottori University School of Medicine

キーワード :

超音波ガイド下穿刺はリアルタイムに標的を描出することができるため,正確,安全に穿刺が可能である.当科では,年間250-300例の超音波ガイド下穿刺を行っており,2012年の内訳は肝生検46例(肝生検12例,肝腫瘍生検34例),肝癌治療168例(RFA107例,PEIT61例),嚢胞,膿瘍ドレナージなど17例である.
【肝生検】
当科では肝生検後の止血確認をカラー・ドプラー(CDUS)とソナゾイドによる造影エコー(CEUS)で行っている.まず,CDUSで血管の分布を観察し,血管の少ない領域を穿刺経路として選択.Bモード下に肝生検を施行し,すぐにCDUSで穿刺経路のカラーフローの有無を調べる.次にソナゾイド0.5mlを投与し,穿刺経路の造影剤流出の有無,及びその消失を観察している.最近の100症例中33例で造影剤の流出を認めたが,すべてで消失を確認し,その後再出血症例はない.血管の少ない領域を穿刺経路として選択することで出血などの合併症を防ぎ,CDUSやCEUSを組み合わせることで,穿刺後の止血確認をより確実に行うことが可能である.
【肝癌治療】
肝癌に対するRFAでは,超音波で病変を特定し,全体像を明瞭に描出することが重要である.Bモードで描出できなくても,CEUSの血管相,クッパー相が有用である.また以上で描出できなくても,TACE後に描出可能となることがある.病変の全体像が描出できなければ,人工腹水や人工胸水も併用する.また,RFA後にCEUSを施行し,治療効果判定と共に,出血の有無もチェックしている(図1).近年,肝癌の局所治療はRFAが主となっているが,当科では肝機能低下例や病変が大きくRFAの適応とならないものに対してPEITを施行している.PEITは繰り返しの穿刺が必要であるが,CEUSの血管相で残存部を特定することで,効率的な治療が可能となった.
【肝膿瘍】
肝膿瘍では,起因菌の特定は治療方針決定に重要であり,当科では原則として膿瘍穿刺吸引を行っている.CEUSによって膿瘍腔が明瞭化し,高率に膿汁の採取が可能となる.当科で治療した肝膿瘍20例中18例でCEUSにより膿瘍腔が明瞭化し,14例で膿汁が採取され,9例で菌の特定が可能であった.超音波ガイド下アプローチは種々の工夫により,病変の同定,より安全な穿刺治療の効率化が可能である.