Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

特別プログラム 領域横断
シンポジウム17 <治療に活かす> 体腔内超音波の現状と展望

(S168)

経膣エコーの最先端

Leading edge in transvaginal ultrasound

秦 利之

Toshiyuki HATA

香川大学医学部母子科学講座周産期学婦人科学

Department of Perinatology and Gynecology, Kagawa University School of Medicine

キーワード :

最近の超音波技術のめざましい進歩は,産婦人科領域とくに経膣超音波診断にも大きな発展をもたらした.本シンポジウムでは経膣エコーの最先端について紹介する.
【1.3D/4D超音波による妊娠初期の胎児異常の診断】
妊娠初期の胎児異常の診断において,従来の経膣2D超音波を補う点で経膣3D/4D超音波の果たす役割は非常に大きい.とくに最近開発されたHDliveは,子宮内の胎芽・胎児をまるで胎児鏡で観察したかのような画像を得ることができ,胎児異常の診断は飛躍的に向上した.
【2.4D超音波による妊娠初期の胎児行動の観察】
経膣4D超音波を用い妊娠初期の胎児行動の観察が可能となった.4D超音波はより小さな胎児の動きを詳細に観察することができる.その結果,従来の2D超音波よりも1週間早く躯幹や四肢の動きを観察することができる.さらに,我々は経膣4D超音波を用い妊娠10週—妊娠13+6週の単胎児の行動の観察を行った.その結果,妊娠10−11週と12−13週で胎児行動パターンに差が認められたのは,この時期の神経・筋システムの発達と分化を反影している可能性があることを報告した.
【3.3D inversion法】
経膣3D inversion法を用い妊娠初期の胎芽・胎児の脳胞を立体的に再構築することが可能となった.その結果,妊娠初期の胎芽・胎児の脳・中枢神経系の発達の劇的な変化の評価が可能となった.また,妊娠初期の胎児脳・中枢神経系異常の診断をより詳細に行うことができるようになった.婦人科領域では,子宮腔内病変,卵管水腫,多嚢胞性卵巣,卵胞刺激,胞状奇胎,卵巣嚢腫の診断に有用である.
【4.3D power Doppler】
経膣3D power Dopplerを用い,妊娠初期の胎児脳血流量を計測することが可能となった.さらに,妊娠中の子宮頸管の血流を計測することにより,過期産での分娩発来の予測や分娩誘発の成否の評価の試みも行われるようになってきた.婦人科領域では,子宮頸癌の診断,子宮頸癌における化学療法の効果判定に,経膣3D power Dopplerによる血流評価が有用であることが報告されてきている.また,経膣3D HD-flowが子宮動静脈奇形の診断に有用であったとの報告もある.
【5.Elastography】
産科領域では,子宮頸管の熟化,分娩誘発の成否の評価に応用されつつある.婦人科領域では,子宮腺筋症,子宮筋腫,子宮内膜病変,子宮頸癌の診断などに応用されつつある.