Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

特別プログラム 領域横断
シンポジウム11 <診療に活かす> ER編:指導医が教えるここだけは見てほしいポイント

(S159)

ERにおける産婦人科超音波診断

Ultrasonic Diagnosis of Obstetrics and Gynecology in ER

坂田 麻理子

Mariko SAKATA-UEHARA

国立成育医療研究センター周産期診療部

Center for Maternal-Fetal and Neonatal Medicine, National Center for Child Health and Development

キーワード :

【目的】
日常の産婦人科診療において,超音波検査は最も重要なツールの一つであるが,それはERにおいても同様である.産婦人科疾患は,言うまでもなく女性が対象であることと,月経時の出血,陣痛時の強い腹痛などのように,通常では異常所見とされる「出血」や「痛み」が生理的にみられることが特徴である.このため,急性腹症の患者が受診したときなどは,「女性」で「下腹痛」といえば必ず産婦人科疾患のルールアウトが求められるのだが,「産婦人科超音波=経腟超音波(体腔内超音波)」のイメージが強く,産婦人科医が対応する(べき)という空気がある.しかし,そのために診断の遅延や症状の増悪を招くケースが少なくないのが実情である.また,とくに妊娠可能年齢の患者の場合には,被曝のリスクのない超音波による検査は非常に有用である.今回は,ERで遭遇する頻度の高い,代表的な産婦人科救急疾患について,超音波画像の特徴と診断のポイント,対応方法について概説する.産婦人科的疾患に興味をもって苦手意識を克服し,より広い理解により初期対応から初期治療開始までの時間短縮を実現し,よりスムースで無駄のない医療サービスの提供が可能となることを期待したい.
【とりあげる代表的産婦人科疾患】
婦人科救急疾患(急性腹症として受診され,早期対応を必要とする疾患)
1.卵巣のう腫茎捻転
2.子宮外妊娠
3.初期流産 など.
産科救急疾患(母児の生命に関わり,緊急対応を必要とする疾患)
1.陣痛発来
2.常位胎盤早期剥離
そのほか救急外来にて遭遇することの多いもの月経困難症(明らかな器質的疾患がない場合もあるが,子宮筋腫や子宮内膜症など月経困難症の原因となりうる疾患の特徴について解説する.)